東京都知事選で56人の立候補者が乱立し、言論を戦わせるという本来の機能が奪われている。また、都政に対する提案ではなくて、まったく関係のない主張の場にもなっている。主張の中身を規制することは言論や政治活動の自由から難しいというのだが、解決策もありそうだ。
知事選に立候補するための供託金を高くすれば良い。つまり問題をお金で解決するのである。金で解決すると言えば嫌われるが、金で解決しないと無限に面倒なことが起きる。言論や政治活動の自由を制限しないで立候補を制限するのは難しいからだ。
供託金は、選挙を利用した売名行為を防ぐ目的として、公職選挙法により設けられている。知事選の場合は1候補者につき300万円をあらかじめ供託し、得票が有効投票数の1割未満であれば供託金は没収され、都に納められる。
前回の都知事選では、立候補者22人のうち19人が没収の対象となった。今回も多くの候補者が供託金の没収となる可能性が高いが、それでも立候補が増えたのは街頭演説や政見放送、選挙ポスターの掲示によって得られる候補者や団体の宣伝効果が300万円を支払う以上にあると判断されてのことである。
そもそも人口100万の県でも1400万の東京都でも同じ供託金であることに矛盾がある。人口が10倍大きければ公費で支援する選挙活動のための費用もほぼ10倍になる。立候補することによる認知度の上昇もそれに準ずる。
都道府県の人口順位で丁度真ん中24位の鹿児島県の人口は約160万人である。ここを標準の300万円とすれば、東京都の人口約1400万人は鹿児島県の人口の8.75倍だから、東京都の供託金は300万×8.75=2625万円なので、2600万円とすることが適切なのではないだろうか。