2024年10月6日(日)

「永田町政治」を考える

2024年7月8日

〝ヒラリー人気〟想起させる小池、蓮舫氏

 小池、蓮舫氏の両パワー・ウーマンは、牽強付会を承知で言えば、筆者には、米国のヒラリー・クリントン元国務長官を想起させる。

 ヒラリー氏は、ことし秋の大統領選で復帰をめざすトランプ氏と16年の選挙で争い、一時は女性初の超大国リーダー誕生が濃厚ともささやかれた。

 一方で、夫のビル・クリントン元大統領がアーカンソー州知事時代、土地ころがしに夫妻で関与した疑惑、国務長官時代に、機密文書の送受信を含む公務の際に私的なメールアドレスを使用していた問題などが繰り返し指摘されていた。

 なによりも、ファーストレディとして君臨したホワイトハウスを去った後、上院議員、国務長官を歴任、そのうえ大統領までめざそうというあくなき野心にうんざりする米国民が少なくなかった。

 クリントン人気の裏を知りながら、党幹部、党員らは、巧みな弁舌、才気あふれる容姿、物腰など人気の高さに幻惑されて、「ヒラリー大統領」を夢想、結局、トランプ氏に一敗地にまみれた。

 民主党がヒラリー氏を避け、幅広く支持を集められる清新で穏健な候補を擁立していたら、米国だけでなく世界を混乱させたトランプ政権の登場などまさしくあり得なかったろう。

魅力ある候補者発掘の努力怠るな

 知事選にもどる。

 自民党、立憲民主党とも米民主党並みに、小池、蓮舫氏への支持に変化が生じていることに鈍感だったのではなかったか。それを承知で、魅力的な候補を発掘するという困難な責務をあえて放棄したのなら、怠慢というべきだ。

 公認、推薦など形式はどうあれ、知事選となればやはり、政党が前面にでなければ盛り上がりに欠ける。

 自民党にとって苦しい状況は理解できるとしても、そうした時だからこそ、真摯に有権者の選択に答えて信頼を回復しなければならなかった。 都民に「どちらの候補にも投票したくない」と思わせたとしたら、政党として恥ずべきことだ。

 総選挙が来年秋までには行われる。岸田総理・総裁のもとか、別なリーダーによるかは、予測できない。政権選択の選挙では、さすがに、〝抱きつき〟はないだろうが、安易な候補者擁立を」繰り返すなら、再び有権者の失望、反発を招く。

 岸田首相は都知事選投票日の7日、故安倍晋三首相の銃撃から満2年にあたって開かれた「志を継承する会」であいさつした。「辛くても歯を食いしばって信頼回復を目指す」――。

 その言やよし。口先だけで終わるなら首相は退陣し、自民党は看板を降ろしたほうがいい。

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