2024年12月27日(金)

田部康喜のTV読本

2013年12月18日

 最終回が迫るドラマを紹介する。ラストまでもう1回、充分に楽しめる。

 NHK土曜ドラマ「太陽の罠」(最終回・12月21日)と、「真夜中のパン屋さん」(同・12月24日)である。

 にっしーこと西島隆弘が演じるエンジニア・長谷川眞二が主人公の「太陽」は、太陽光発電に関する特許紛争が舞台回しとなっている。タッキーこと滝沢秀明がパン屋の主人・暮林陽介を演じる「真夜中」は、大沼紀子原作の「まよパン」の愛称で親しまれているシリーズがドラマ化された。

 パン屋を始めようとしていた矢先に事故で亡くなった、暮林の妻・美和子役の伊藤歩が、「太陽」の長谷川の妻・葵役で登場する。若手女優として演技派の伊藤歩は、それぞれ人生の謎を秘めた美しいふたりの妻を演じて、観客を引き込む。

「特許マフィア」との戦いの真相

 「太陽」の長谷川は、太陽光発電の開発に日夜取り組んでいる。公園で昼食を食べているとき、近くの会社のOLだという葵と知り合い、結婚する。

 長谷川が試作した音響装置は、植木の葉が太陽光電池の小さなパネルになっている。流れ出る音楽はジャズのスタンダード・ナンバーである「時の過ぎゆくままに」である。

 この曲が静かにゆったりと流れていきながら、ドラマはサスペンスの緊張度を高めていく。

 長谷川が勤務するメイオウ電機がアメリカの企業から、特許侵害の警告を受ける。「パテント・トロール」と呼ばれる、有望な特許を手に入れて、メーカーに対して侵害の賠償を求める特許マフィアである。

 この特許マフィアとの戦いの正面に立つのが、訴訟対策室長の濱考一(尾美としのり)である。濱役の尾美はいうまでもなく、連続テレビ小説「あまちゃん」の父親役。特許マフィアに狙われた理由を探っていくうちに、製造マニュアルが社内から漏えいした可能性があることを突きとめる。


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