農産物は地域内での消費、その後も
こうして生産された有機農産物は、直売所、契約販売、ウェブサイトを通じて販売されている。地元産の大豆から作られた豆腐は地域のスーパーマーケットに並ぶ。霜里農場に隣接する廃校になった小学校はレストランに改装され、地域の食材を使った料理が提供されている。生産された野菜はあらゆる形で消費者の口に入る。
豆腐製造の過程で出たものやレストランの廃棄物、一般家庭から出た食品廃棄物はそれぞれ肥料として再利用され、農家へと戻る。まさに循環型の消費が実現されているのだ。
まちぐるみで持続可能にしている有機農業を後継者に伝え、育成する取り組みも進められており、これまでに町外から移住した約50人の後継者が育っている。有機農業が広がりを見せ、2~3ヘクタールの農地を運営する専業農家が30人にも達している。
しかし、有機農業を実践するのは、小川町全体の農業経営者 257 戸のうち、42戸と20%以下だ(2020年)。以前は有機農業に取り組んでいたのに、慣行農業に戻った生産者もいる。有機農業は理想論だけでなく、経済的に有利でないとなかなか増えていかないという現実も見えてきており、より一層の工夫が必要となりそうだ。