2024年7月30日(火)

BBC News

2024年7月30日

パリ・オリンピック(五輪)は競技3日目の29日、日本勢の逆転での金メダル獲得が続いた。体操男子団体では、最終盤に中国を追い抜き、2大会ぶりの金メダル。スケートボード男子ストリートは、堀米雄斗が最後のトリックで最高点を挙げて五輪2連覇を果たした。

馬術の総合馬術団体では、日本が3位に入り、団体としては初のメダルを獲得。柔道では、女子57キロ級の舟久保遥香と男子73キロ級の橋本壮市がともに銅メダルを手にした。日本は全体のメダル争いでトップに立っている。

最後の鉄棒で大逆転

体操男子団体の日本は、岡慎之助、杉野正尭、橋本大輝、萱和磨、谷川航の5人。27日の予選を中国に続く2位で通過し、8チームが6種目の合計点で争う決勝に臨んだ。

ゆか、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒の5種目を終えた時点で、日本は首位の中国に3.267点差をつけられ、金メダルは遠のいたかに思われた。

しかし、日本と同じローテーションで回っていた中国は、最終種目の鉄棒で2人目が2度落下。大きく減点された。

日本の最後の演技者は、エースで鉄棒を得意とする橋本。東京五輪の種目別鉄棒で金メダルを取った橋本は、今大会で連覇を狙ったが、予選で失敗し、その道が途絶えていた。その橋本は、次々と高難度の手放し技を成功。着地もぴたりと決め、高得点をたたき出し、勝利を引き寄せた。

大歓声が続くなか、橋本は中国の最終演技者のため、指を立てて会場に静けさを求める。中国選手はミスなく演技を終えたが、日本に及ばず、日本の逆転での金メダルが決定した。日本の金メダル獲得は、リオデジャネイロ五輪以来2大会ぶり。3位にはアメリカが入った。

表彰後のインタビューで、橋本は「みんなに助けられた金メダルだなと思っていて、この4人がいなかったら絶対取れなかったし、僕もこの4人おかげで今日最高の演技を出すことができたと思っています」と話した。

この日、あん馬で落下していた橋本は、「ミスもあったんですけど、すごい声をかけてくれて、自分で前を向けることができた」と振り返った。そして、「最後の鉄棒の前は、みんなに背中を押してもらって、背中にみんなの思いをのせて演技することができた」、「みんなの思いを背負って戦えたのが本当に僕は幸せでした」と話した。

岡は「最後まであきらめずにみんなにつないでいったことがこういう結果につながったので、本当に最高です」と喜びを表現。萱も「夢なのかというふうに思うくらいで、何度も確認してほっぺたをつねって、夢じゃないと。ちゃんと日本が一番になったところをみて、本当に夢がかなったな、かなえることができるんだなと思いました」と話した。

杉野は「チーム全体で勝ち取った金メダルだと思います。最高ですね、本当に」とうれしさを言葉にし、「オリンピックは憧れにしていた舞台で、金メダルも小さいころから夢見てやってきた」、「東京(五輪)の時の悔しさをばねにここまでやってきて本当に良かったなという思いがすごくあります」と述べた。谷川は「跳馬で失敗してしまってチームに迷惑かけたなという気持ちなんで、悔しさもすごくあるんですけど、みんなに救ってもらってやっと(金メダルを)取れたということで自然と涙が出てきた」と話した。

堀米が東京五輪に続き連覇

スケートボード男子ストリートの堀米はこの日、予選を4位で通過。8人で競う決勝に進んだ。

決勝は、前半の「ラン」(パーク内を45秒間、自由に滑走)を4位で終了。後半の、一つの技を競う「ベストトリック」では、1本目で高得点をたたき出し、順調さをうかがわせた。たが、その後の3本を連続で失敗。最終5本目に臨む時点では、暫定7位に沈んでいた。

ここから優勝するには100点満点で96.99以上を出さなければならない状況。そのなかで堀米は、270度回転してボードの後ろ部分をレールに滑らせる大技に成功。得点は97.08で、逆転で東京五輪から2大会連続の金メダルを獲得した

銀メダルはアメリカのジャガー・イートン、銅メダルはアメリカのナイジャ・ヒューストンだった。白井空良は決勝のランを終えて3位だったが、最終的には4位となった。

堀米は表彰式後のインタビューで、最後はイヤホンの音楽をかけないで集中したと説明。インタビュアーから「逆転の堀米ですね」と言われると、「自分では逆転は狙ってはいないんですけど、本当は早めにのって優勝を決めたいんですけど、最後に逆転できて本当にうれしいです」と答えた。

馬術で92年ぶりメダル

馬術の総合馬術団体は、ヴェルサイユ宮殿内に設置された特設会場で繰り広げられた。

日本は、3種目のうちの馬場馬術とクロスカントリーを終えた28日の時点で3位につけていた。しかしこの日、最終種目・障害馬術が始まる前の馬体検査の結果、北島隆三の馬が出場保留とされ、減点で5位に後退した。

そうした状況のなか、全員が昭和生まれで「初老ジャパン」を自称する日本チームの田中利幸、戸本一真、キャプテンの大岩義明は、難易度の高いコースで障害物を一つも落とさず完走。一方で、他チームでは障害物を相次ぎ落下させるなどし、日本は最終的に3位で競技を終えた。優勝は2連覇のイギリス、2位はフランスだった。

日本が馬術でメダルを獲得したのは、1932年ロサンゼルス五輪の障害馬術個人で金メダルを獲得した西竹一さん以来92年ぶり。団体でのメダルは初めて。

柔道男女でともに銅メダル

柔道の女子57キロ級では、舟久保が1、2回戦を勝ち上がり、準々決勝で地元フランスのサラ・レオニー・シジクと対戦。出足払いで一本負けし、敗者復活戦に回った。

敗者復活戦では、セルビアのマリツァ・ペリシッチに横四方固めで一本勝ちし、3位決定戦に進出。銅メダルをかけた争いは、ブラジルのラファエラ・シウヴァを相手に本戦の4分間では決着がつかず、延長戦に入った。延長5分が過ぎたころ、シウヴァが頭を支点に技をかけるヘッドダイビングの反則をし、舟久保の勝利が決まった

試合後のインタビューで舟久保は、「金メダルを目指していたので、全然手も足も出なかったので、本当に悔しいなと思います」と率直な思いを述べた。そして、「ここまでたくさんの人に応援してもらったので、何としてもメダル持って帰りたいと思っていたので、とりあえずよかったかなと思います」と話した。

金メダルはカナダの出口クリスタ、銀メダルは韓国のホ・ミミ、銅メダルのもう1人はフランスのジジクだった。出口は日本出身で、ホ・ミミは早稲田大学在籍。

一方、男子73キロ級では、橋本が2回戦から登場。準々決勝に進んだが、フランスのジョアン・バンジャマン・ガバに延長戦で三つ目となる指導を受け、敗退した。

敗者復活戦に回った橋本は、モンゴルのエルデネバヤル・バザヤと対戦。相手のヘッドダイビングの反則により勝利し、3位決定戦に進んだ。

3位決定戦では、開始早々にコソボのアキル・ジャコヴァに背負い投げを仕掛け、技ありを奪った。橋本はそのまま優勢勝ちし、銅メダルを獲得した。

橋本は試合後のインタビューで、「僕の柔道人生に悔いが残らないように最後戦いました」、「金メダルは届かなかったんですけど、本当にいろんな思いがあります、ありがとうございました」と話した。

金メダルは、アゼルバイジャンのヒデヤット・ヘイダロフ、銀メダルはフランスのギャバ、銅メダルのもう1人はモルドヴァのアディル・オスマノフだった。

日本がメダルランキングで首位

パリ五輪のメダルランキングは、競技3日目を終えた時点で、日本が唯一金メダル6個を獲得して首位に立っている。

2位には開催国フランスが僅差で続き、中国、オーストラリア、韓国がトップ5につけている。

アメリカはこれまで20個のメダルを獲得し、どの国よりも多い。しかし、金メダルは3個にとどまっているため、全体順位は6位となっている。

(英語関連記事 Paris 2024 Olympics medal resultsLive Reporting

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c3gd7pxgky5o


新着記事

»もっと見る