2024年8月22日(木)

BBC News

2024年8月22日

ロバート・プラマー、BBCニュース

ウクライナのドローン(無人機)攻撃を受けて大規模な火災が発生した、ロシア南部ロストフ州プロレタルスクの石油貯蔵施設は、3日経った21日も燃え続けた。こうした中、ロシア正教の司祭たちが火災現場を訪れた。

消防士500人以上が石油貯蔵施設での消火活動に当たっている。

地元当局がロシア国営RIA通信に語ったところによると、貯蔵タンク74基のうち約20基が燃えている。

地元のロシア正教の司祭たちは21日、消防士の努力を支援するためにイコン(聖画像)を手に現場を訪れ、消防車の横で祈りをささげた。

「(司祭は)消防士たちと言葉を交わし、すべての消防設備に祈った」と、地元のヴォルゴドンスク教区関係者はロイター通信に語った。

司祭たちは、火災に対するお守りとされる「燃えない茂み」が描かれた大きなイコンを持参した。

ロストフ州のヴァシリー・ゴルベフ知事によると、18日に飛来したウクライナ軍のドローンは防空システムで撃墜された。しかし、その破片によってディーゼル燃料に引火したという。

当局は非常事態を宣言したが、市当局は住宅地への延焼の恐れはないとし、市民に「パニックに陥らないよう」求めていると、ロシア国営メディアは伝えた。

ゴルベフ知事は、火災の影響を受けた消防士41人が手当てを受け、うち5人が緊急治療を受けたと明らかにした。

ウクライナは、この施設への攻撃についてコメントしていない。ただ、ウクライナ軍はこれまで、2022年2月に始まったロシアによる全面侵攻に対抗する一環として、ロシアの石油インフラを標的にし続けている。

ウクライナ軍はこの日、ロシア・ロストフ州ノヴォシャフチンスク近郊でロシア軍の防空システム「S-300」を攻撃したことを明らかにした。

この攻撃は、ウクライナ海軍が別の複数部隊と連携して行ったものだと、ウクライナ軍参謀本部はフェイスブックに投稿した。

「ウクライナの防衛部隊は引き続き、ロシア人侵略者たちの防空を弱体化させている」

そして、「ロシア人侵略者たちがS-300(防空)システムを使ってウクライナの平和な複数都市を攻撃し、住宅を破壊し、市民を恐怖に陥れていることは忘れてはならない」と付け加えた。

モスクワ上空にドローン

ロシアの首都モスクワでは21日、ウクライナ軍のドローン11機が防空システムで撃墜された。ドローンは夜間にモスクワを狙っていたとされる。

モスクワのセルゲイ・ソビャーニン市長は、同市に対する攻撃としては紛争開始以来で最大級だと述べた。被害や死傷者は報告されていない。

同じころ、ウクライナはロシアのドローン50機と複数のミサイルによる攻撃を阻止したと発表した。

「敵は攻撃用ドローンで我々の地域を攻撃し続けている。空襲は夜から朝にかけて9時間以上続いた」と、ウクライナの首都キーウの軍政当局はメッセージアプリ「テレグラム」に投稿した。

また、落下した破片で民家1棟が損壊し、送電線が切断されたと付け加えた。

ウクライナ軍は、8月6日に開始したロシアへの越境攻撃で掌握した西部クルスク州の領土の大部分を、現在も維持し続けている。

ロシア領土が外国勢力に占領されたのは、第2次世界大戦以来初めて。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は21日夜のビデオ演説で、クルスク州での「我々の戦闘活動は続いている」と述べた。

「我々は指定地域を支配している」としつつ、詳細は明かさなかった。

ウクライナと国境を接するロシア・ブリャンスク州では21日、ウクライナの偵察隊が侵入を試みたが撃退したと、アレクサンドル・ボゴマズ州知事は述べた。

こうした中、ロシア部隊はウクライナ東部ドンバス地方の主要都市ポクロフスクへの攻勢を強めている。

ウクライナ当局は今週初め、ロシア部隊がポクロフスク郊外から約10キロの地点に迫っているとしていた。同市は同地域で展開するウクライナ軍にとって重要な兵站(へいたん)拠点となっている。

(英語記事 Russian priests bless fire trucks as huge blaze continues after Ukraine attack

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c77l607jnxlo


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