2024年8月26日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年8月26日

 今のところ、ハリスは沈みかけていた民主党の船を元に戻すことが出来ている。潜在的に互角に転じていた強固な青の州が青に戻った。ハリスは幾つかの全国的な世論調査でトランプをリードしており、激戦州では実際問題としてトランプに並んでいる。

 しかし、このモメンタムには恐らく天井がある。米国は半々に分かれている。2000年以来、大統領選挙は接戦である。今回もペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン、アリゾナ、ジョージア、ノースカロライナ、ネバダの数十万票によって決まるであろう。

 勝つためには、ハリスは政策の中身を語り始める必要がある。民主党の最大の強みは妊娠中絶問題にあり、彼女はこの問題について説得的で効果的である。

 最大の弱みは移民問題であり、共和党更には無所属の候補をも奮い立たせている。しかし、民主党には逃げ口がある。すなわち、今年、トランプは共和党に圧力をかけて超党派の移民法案を放棄させた経緯がある。

 民主党は、超党派の国境における厳格な取締りを支持したが、トランプが支持しなかったことを指摘することが出来る。既に、ハリスは当選すればこの法案を成立させると述べている。

 ハリスの戦略は巧く行くか。厳しい争いとなろう。これまでのところ、彼女は11月に報われるかも知れない普通でない道筋を選択している。

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「庶民」のイメージ与える

 民主党は開かれたプロセスでバイデンに代わる大統領候補を選ぶべきではないかと思っていたが、対抗馬も現れないまま、ハリスを後継候補とすることで結束することになった。ハリスは副大統領候補に指名したウォルズ(ミネソタ州知事)と組んで、トランプ・バンス陣営からモメンタムを奪い、トランプがリードしていた形勢を瞬く間に逆転あるいは互角に持ち込んだとみられる。ニューヨーク・タイムズ紙が報じる世論調査のハリス対トランプの数字は、全国:48%対47%、ウィスコンシン:50%対48%、ミシガン:49%対47%、ペンシルベニア:48%対48%である。

 この論説は、以上のような選挙情勢について興味ある観察を提供している。ハリスは目下勝ちつつあるが、彼女は感情に訴える雰囲気の戦いに勝ちつつあるのだとしている。すなわち、投票行動は必ずしも合理的でなく、直観と熱情に大きく関わる部分があると指摘している。


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