2024年6月14日(金)

Wedge REPORT

2014年1月7日

いかに再エネを合理的に拡大していくか、
普及策としてFITがふさわしいのか、改めて議論を

 今回の本題はCO2排出原単位論争ではないので、簡単な紹介にとどめるが、結局この論争は、全電源平均とマージナル電源(火力の平均)の間を取るような裁定で決着した。「業界同士の政治力が」などという短絡的な理由ではない。この時の議論はどちらにもそれなりの理由があったので、導入当初はマージナル電源(火力平均)で、その後全電源平均に移行するという結論で落着したのである。

 再エネの中核である太陽光や風力は、天候に依存し非常に不安定だ。太陽光や風力の分刻みの出力変動のバックアップには、実態として、石油火力だけでなく応答性の高いLNG火力等も使われており、再エネの出力により石油火力だけが発電を「回避」するわけではない。経済学的には電源の価格が安い順から使っていき、高い順から止めるメリットオーダーという考え方で運用するのが基本であるが、そこに応答性の高さ等を踏まえて、使うべきものを使っていくのが電力というシステムにおける「系統運用」なのだ。

 コジェネは再エネと違って、安定的に出力する電源だが、それでも、CO2排出原単位は火力平均とならず、ましてや石油火力となることはなかった。コジェネより不安定な再エネで、回避可能原価を石油火力で計算することを求めるのはかなり乱暴である。

 卸電力価格を使うという提案は前者に比べれば合理性が高い。しかし、日本の卸市場は小売販売電力量の0.5%しかなく、FITの買取発電量と比べても1/3程度しか無い。これを回避可能費用の参照価格とするのは時期尚早であるように思える。また、夜間も発電し続ける風力発電の回避可能費用は相当安くなるが、その点も踏まえた上で「自然エネルギー財団」はこの提案を推奨しているのであろうか。

 回避可能原価の計算方法についての論戦はぜひ活発にすべきである。電気料金に自動的に賦課されるのであり、消費者にとっては税金にも近い存在である以上、その根拠は明確にわかりやすく示されるべきだ。ただし、結論を得るのはそう簡単ではなく、テクニカルなポイントも含めて精緻に行っていく必要がある。

 こうした検証を経ずに「ボッタクリ」といった刺激的な言葉を使うことは決して生産的ではない。また、この議論に時間を費やすよりは、いかに再エネを合理的に拡大していくか、普及策としてFITがふさわしいのかについて改めて議論を行うほうが建設的ではないだろうか。普及策を誤り、再エネそのものに対して国民が負担感を感じるような事態は、氏も望んでいないと思うのだが。


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