2024年5月28日(火)

Wedge REPORT

2014年1月7日

 しかし、回避可能費用は電力事業者にとってみれば電気の仕入れ価格であり、計算方法を変更して回避可能費用が上がることは、電気料金の原価上昇を意味する。総括原価主義のもとであろうが、自由化されようが、原価が上昇すれば電気料金上昇につながる。

 氏が指摘するように、経産省の定めたルールのおかげで電力事業者が私腹を肥やしているわけでもなんでもない。消費者の負担の形態が異なるだけであり、氏の指摘はこの点において明らかに間違っている。

「神学論争」と呼ばれた
電力のCO2排出原単位論争とは?

 次に、氏の主張のもとになっている自然エネルギー財団の「回避可能費用の計算方法に関する分析」では、回避可能費用をもっとも高い電源である石油火力の運転単価や、卸電力価格で算出すべき(そうすれば賦課金は1000億円以上減る)としているが、前者の提案について言えば「系統運用」を理解していないと言わざるを得ないし、後者の提案は現在市場規模があまりに小さい日本において現実的ではなく、また、再生可能エネルギーの中でこの見直しが不利になる電源も出てくるがその点を理解した上での提案であるのか疑問が生じる。いずれにしても回避可能費用をどう求めるかは、そう簡単に断定できるテーマではないのだ。

 実はこのテーマ、以前ガス業界と電力業界の間で長く繰り広げられ、「神学論争」と呼ばれた電力のCO2排出原単位論争と構図が似ている。

 CO2排出原単位論争をご存知ない方も多いだろうから、ここで簡単にご紹介させていただきたい。最近日本においては脇に置かれた感のある地球温暖化問題が華やかなりし頃、ガス業界と電力業界は分散型電源の導入で削減できるCO2の量をどう計算するかで激しく議論を戦わせていた。

 ガスコージェネレーションシステム等分散型電源の導入を促進する立場からすれば、そうした温暖化対策によって削減できるとされるCO2の量は大きいほうが良い。対策の効果を図るにはCO2削減対策の影響を受ける電源、すなわちマージナル電源の係数を用いて計算するべきであり、それはベース電源である原子力や水力を含まない、火力電源であるはずだと主張していた。

 対して電力業界は、原子力や水力も含めた全電源平均で計算すべきであるとして譲らず、CO2排出原単位論争は「神学論争」と呼ばれるに至った。


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