2024年9月4日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年9月4日

 先月、米国は日本における米軍の指揮統制を近代化する計画を発表した。これは、日米軍事関係の最大の進化である。

 第三に、バイデンはインド太平洋地域と欧州の同盟国間の架け橋を築いた。日本や他のアジアのパートナーは、ロシアの侵略につきウクライナを強力に支援している。欧州は、プーチンを支援して国際秩序を損なう中国に対して団結して立ち上がっている。

 我々は、同盟国やパートナーと協力して、北朝鮮の兵器開発に対抗し、海洋における中国の危険な瀬戸際政策に共に反撃している。我々と近隣諸国はより安全で強くなった。

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中国が見直した対豪関係

 この記事は、バイデン外交の最大のレガシーがインド太平洋外交だとして、三点を挙げる。第一は、従来の「ハブ・アンド・スポーク」の外交モデルを統合し、相互に関連したネットワークに発展させたこと(AUKUS、日米韓首脳会議、米日比首脳会議、クワッド、IPEF、米ASEAN首脳会議、米PIF首脳会議に言及)。第二は、「同盟国やパートナーと緊密に協力し、共通の課題に共に立ち向かった」こと(日米安保強化、韓国の貢献、豪州や比、インドの役割、日米指揮統制の近代化等に言及)。第三は、「インド太平洋地域と欧州の同盟国間の架け橋を築いた」こと(日本等のウクライナ支援、欧州の対中抑制等)。

 この記事が、インド太平洋外交がバイデン外交の最大のレガシーと言うのは頷ける。バイデン外交は、問題の難しさ故に中東やウクライナ、中国、北朝鮮等ではうまく行かなかった点も多いが、トランプ政権4年の後に崩れかけた西側の結束や同盟を立て直したという点では極めて重要な成果を達成した。

 その成果は、インド太平洋で顕著だ。豪の役割も顕著に進化、一時の極めて高圧的な中国の対豪外交は失敗した。中国は対豪関係を見直している。

 日米比首脳会談、米のASEANやPIFとの首脳会議も大きな意義があった。最近の日米の指揮統制の変革は、双方の制約要因を踏まえた歴史的、実利的進化だ。8月下旬には、ドイツの艦船が訪日、日本近海で日米等と共同演習を行う。


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