2024年9月10日(火)

BBC News

2024年9月10日

ショーン・コクラン王室担当編集委員

3月にがんの治療を受けていることを公表した、イギリス王室のキャサリン皇太子妃は9日、化学療法を終えて安堵(あんど)していると語った。

ウィリアム皇太子夫妻の公務を管理するケンジントン宮殿は、キャサリン妃の極めて個人的な内容の動画とメッセージをソーシャルメディアに投稿した。

キャサリン妃は3月にがんの治療を受けていることを公表して以降、公の場にほとんど姿を現していなかった。

年内は、11月の戦没者追悼式典や毎年恒例のクリスマス・キャロル・コンサートなど、いくつかの公務を行う予定という。

一方で、キャサリン妃は思いを込めた動画メッセージで、今年は「信じられないほど厳しい」ものだったと振り返り、「それまでの暮らしが、一瞬にして変わってしまう」経験だったとも語った。

キャサリン妃は自分の健康状態について前向きなメッセージを出すと同時に、「治癒と完全な回復への道のりは長い」ことも明らかにした。

ケンジントン宮殿は、現段階ではキャサリン妃ががん細胞のない「キャンサーフリー」と呼ばれる状態かどうかは明言できないとしている。

キャサリン妃は「がんの旅は誰にとっても、そして特に身近な人にとっても、複雑で、恐ろしく、予測不可能なもの」だと語った。

「謙虚になることで、これまで考えたこともないかたちで自分の弱さに直面することになり、それによって、あらゆるものを新しい視点で見るようになる」のだとキャサリン妃は動画で話している。

動画は、8月に英東部ノーフォーク州で撮影されたものだという。キャサリン妃がこれほど内心の思いを公表するのは珍しい。

秋らしい色彩の中で撮影された動画は、キャサリン妃が化学療法を終えて喜んでいる様子を表す内容になっている。

キャサリン妃が車を運転し、家族と一緒に歩くシーンでは、「夏の終わりとともに、ようやく化学療法を終えて、どんなに安堵しているか、言葉では言い表せない」というキャサリン妃のメッセージが流れる。

「治癒と完全な回復への道のりは長い」

年内は、11月にロンドン市内中心部の「セノタフ(戦没者慰霊碑)」で行われる戦没者追悼式典など「ごくわずか」な公務に戻ってくることが期待されている。

しかしケンジントン宮殿関係筋は、完全復帰にはまだ長い道のりがあり、キャサリン妃は今後数カ月間は自身の健康状態を最優先に考えていくとも強調している。

「治癒と完全な回復への道のりは長く、一日一日を大切に過ごしていかなくてはならない」とキャサリン妃は述べている。

また、つらい時期を過ごしたが、その経験によって「希望と人生への感謝の気持ちを新たにした」としている。

キャサリン妃は今年、回復に努めるためそのほとんどを公務から離れて過ごしてきた。

健康上の問題は1月、ロンドン中心部の私立病院に入院し、腹部の手術を受けたことから浮上した。手術の内容は明らかにされておらず、がん関連ではないとの説明があった。

3月には、がんの診断を受け、治療の初期段階にあると、キャサリン妃が発表。この時公開された動画メッセージで、回復に努める間はプライバシーを尊重するよう求めた。

キャサリン妃は当時、がんの診断は「非常につらい数カ月」の後に受けたもので、「大きな衝撃」だったと語った。

キャサリン妃が今年初めて公の場に姿を見せたのは、6月にロンドンで行われた、国王の公式誕生日を祝う閲兵式「Trooping the Colour(トルーピング・ザ・カラー)」だった。閲兵式の後は、他の王族と共にバッキンガム宮殿のバルコニーに並び、笑顔で手を振った

この祝賀行事に先立ち公表したメッセージの中で、キャサリン妃は「まだ難しい状況を脱出したわけではない」、がん治療には「調子のいい日と悪い日がある」と語っていた。

直近では、7月の テニスのウィンブルドン選手権で男子シングルス決勝を観戦し、スタンディングオベーションを受けた。

(英語記事 Kate says she has completed chemotherapy treatment

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c5ylnnqdnq9o


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