レバノン南部の国境地帯で7日、イスラエル軍による空爆があり、少なくとも10人の消防士が死亡した。レバノン保健省が発表した。
声明によると、消防士たちはバラアチトの庁舎での「救助活動に出発する準備をしていた」ところ、夜間の攻撃を受けた。
イスラエル軍はこれについて直ちにはコメントしていない。一方で、レバノン南部で同国を拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラの標的に対する夜間攻撃を行ったと発表した。
イスラエル軍は7日午後、レバノン南部にある120の標的を1時間のうちに空爆したと明らかにした。レバノン・メディアは先に、南部地域でイスラエルの激しい砲撃があったと報じていた。
レバノン国営通信社NNAによると、同国南部の沿岸都市ティレ周辺だけで30以上の町や村がイスラエル軍機の攻撃を受けた。
ティレで取材するBBCのオーラ・ゲリン記者は、攻撃を受けたいくつかの場所はイスラエル国境に近い丘陵地帯だったが、少なくとも1カ所はティレの市街地だったと報告した。
イスラエル国防軍(IDF)は、攻撃目標はヒズボラの南部戦線に属する三つの地域部隊(精鋭部隊「ラドワン部隊」、ミサイル・ロケット部隊、情報局)に関連するものだったと説明した。
また、レバノンの首都ベイルート南郊で「標的を絞った」空爆を行ったと発表。同地域では濃い煙が立ち上っているのが報告された。
IDFのレバノン南部への地上侵攻も拡大しているとみられる。同軍は国境付近にあるヒズボラのインフラを解体するために6日前に開始した地上作戦に、3番目の師団が加わったとしている。
こうした中、IDFはレバノンに駐留する国連の平和維持部隊・国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の本部があるナクーラを含む南部の20のコミュニティーに対して、新たに避難指示を出した。
レバノン当局によると、3週間にわたるイスラエルによる激しい攻撃やその他の攻撃で、レバノンでは6日に死亡した22人を含めて1400人以上が殺害され、約120万人が避難を強いられている。
レバノンで大きな力をもつヒズボラは、指導者や軍事部門の最高幹部らのほとんどが殺害されるなど、ここ数週間で壊滅的な打撃を受けているが、挑戦的な姿勢を崩していない。7日には、「イスラエルの侵略に対する私たちの抵抗力に(中略)自信をもっている」と強調した。
この数時間前にはヒズボラのロケット弾がイスラエル北部の港湾都市ハイファとティベリアに着弾し、9人が負傷した。
IDFによると、レバノンからさらに135発のロケット弾がイスラエルに向けて発射された。警察は、ハイファとティベリアの間に位置する下ガリラヤ地方で道路が損壊したとした。
イスラエル政府は、1年近くにわたるヒズボラとの戦闘で家を追われた、イスラエル北部国境地域の住民が安全に帰還できるようにすると約束している。イスラエルとヒズボラの戦闘は、パレスチナ・ガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦争を端緒としている。
イスラエルなど複数の国がテロ組織に指定しているヒズボラは、ハマスがイスラエル南部を襲撃した翌日の昨年10月8日に、イスラエル北部へのロケット弾発射を開始。以来、イスラエルとヒズボラの対立は着実にエスカレートしている。
ヒズボラとハマスはいずれもイランから支援を受けている。ヒズボラはパレスチナ人に連帯を示すために行動しているとしている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は7日の閣議で、「イランの悪の枢軸という敵への反撃は、我々の未来を確保し、安全を確保するために必要だ」と述べた。
(英語記事 Israeli strike kills 10 firefighters in south Lebanon, authorities say)