2024年10月11日(金)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2024年10月11日

 それでは、国際海上コンテナの輸出入に伴う日本国内の輸送はどうなっているかにつき、図1をもとに見ていくこととする。

 この図は、輸出コンテナ貨物のバンニング、輸入コンテナ貨物のデバンニングがどこで行われているかを示している。ご覧の通り、輸出コンテナのバンニングの60%前後、輸入コンテナのデバンニング70%前後が工場や物流センターのような荷主施設ではないその他施設で行われている。

 すなわち、日本では国際海上コンテナはグローバルスタンダードであるドア・ツー・ドアの一貫輸送ではあまり利用されておらず、多くのコンテナは港湾背後地などに立地する物流事業者の上屋や倉庫、保税蔵置場などでバンニング・デバンニングが行われ、それら施設と荷主施設との間の貨物輸送はトラック、鉄道コンテナ、はしけ(平底の船舶)・船舶・フェリー等により行われているのが実情なのである。そこには前回述べた国際海上コンテナとは異なる発展を遂げてきた日本独自のコンテナ輸送システムの存在も影響しているだろう。

 多くの日本発着の海上コンテナ輸送では、このような国際輸送と国内輸送が一貫せず断絶した状況を背景に、欧米ではあり得ない余計な輸送と作業による余計なリードタイムとコストが発生している。「物流の2024年問題」で解消すべき対象となっているドライバーの手待ちや手荷役などの要因ともなっているのである。

トレーラーの“箱”としての本質を理解していない日本

 2023年8月24日の「世界と比べると日本の『物流2024年問題』の核心が見える」、同年10月5日「国土の狭い日本もトレーラーで物流問題解決可能な理由」、そして同年12月7日「『物流2024年問題』解決策はコストコ日本法人から学べ!」等で繰り返し指摘してきた通り、オンシャーシのコンテナを含むトレーラー輸送が大勢を占める北米のトラック輸送においては、ドライバーは手待ちも荷役もせずに、荷主の戸前あるいは庭先にトレーラーを台切りして置いて行き、以降の荷役作業は全て荷主側の責任で行われる。

 トラック運送業者のドライバーは、実入りトレーラーが空になる頃に次の実入りトレーラーを運んできて空トレーラーを引き取り、空トレーラーが実入りになる頃に次の空トレーラーを運んできて実入りトレーラーを引き取る。つまり、北米のトラック輸送のドライバーには、基本的に手待ち時間も荷役時間も発生しないのである。このようなオペレーションは、〝ドロップ&プル〟方式と呼ばれている。


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