それに対して、日本の状況がどうなっているかご理解頂くために、表1をご覧頂きたい。
上表のトレーラーにはオンシャーシの国際海上コンテナも含まれていると考えられるが、運行数で見たトレーラー輸送の割合(構成比)が8~10%と極めてシェアが小さい。そして、最も注目すべきなのは、トレーラー輸送においても、他のトラック輸送とさほど変わらない手待ち時間や荷役時間が発生していることである。
日本では、“箱”とヘッドを分離することによりドライバーを手待ちや荷役から解放するというトレーラー輸送の本質が理解されておらず、10トン車や11トン車のような単車と同様の運用がおこなわれている。トレーラー本来のメリットが十分に享受されていないのである。
筆者は、荷主や物流企業が“箱”としてのトレーラーの本質を理解も活用もせず、〝ドロップ&プル〟方式を取り込んでこなかったことが日本の貨物輸送の近代化の阻害要因となり、延いては「物流の2024年問題」の主要因のひとつとなっていると考えている。
“箱”のメリットが発揮されない日本の貨物運送
上述の通り、日本では欧米や一部のアジアの国々とは異なり、トレーラー輸送の利用頻度は極めて低い。たとえトレーラー輸送が利用された場合であっても、“箱”としてのメリットはほとんど発揮されていないため、ドライバーは手待ち時間からも荷役時間からも解放されていないのである。
そのような状況に加えて、23年10月5日「国土の狭い日本もトレーラーで物流問題解決可能な理由」で述べた「工場・倉庫の地域」に住宅が混在する日本の状況も影響して、表2が示す通り、日本のトラック保有車両数におけるトレーラーの分担率は3%前後と、ほとんど普及していないというのが実態なのである。