2024年10月11日(金)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2024年10月11日

積み替え前提のコンテナ・ドレージ

 最後にもう一度、日本発着の国際海上コンテナの日本国内輸送の状況を、視点をやや変えて見ていきたい。

 図2は、日本発着の国際海上コンテナの日本国内輸送の状況を輸送モード別輸送量構成比で港湾地域別に示したものである。

 ご覧の通り、輸出においては、阪神港を除いて90%以上がオンシャーシ・コンテナをヘッドで輸送する。海運業界ではコンテナ・ドレージ輸送と呼ばれるトレーラー輸送である。

 阪神港では四国からのはしけ・船舶・フェリー輸送が比較的盛んに行われているために10%超のシェアとなっているが、それでもコンテナ・ドレージが85%超のシェアとなっており、圧倒的シェアであることに変わりはない。特に中京港(名古屋・四日市)におけるコンテナ・ドレージ輸送は99%近いシェアとなっている。一方、(鉄道)貨車による輸送量のシェアは、どの港湾地域においてもほぼ0%というのが実情である。

 輸入においては、全ての港湾地域でコンテナ・ドレージ輸送が90%以上のシェアとなっており、やはり中京港の98%近いシェアが目立っている。はしけ・船舶・フェリーのシェアは1%前後、(鉄道)貨車のシェアは1%未満である。

 しかしこのように大きなシェアを占めるコンテナ・ドレージ輸送の多くは、荷主の工場や物流センターに直結してはおらず、先述の通り、国際海上コンテナとトラック、鉄道コンテナ、はしけ・船舶・フェリー等国内輸送モードとの積み替えのための、コンテナターミナルと港湾後背地の物流事業者施設との間の短距離輸送なのである。

 二つ以上の輸送モードを利用したコンテナの詰め替え無しのインタクト輸送は、国際的にインターモーダル輸送と呼ばれているが、上述の通り国際輸送と国内輸送が断絶している日本発着の国際海上コンテナ輸送は、グローバルな視点ではインターモーダル輸送とは言えないであろう。

 そのような認識を念頭に、次回は日本におけるモーダルシフトと鉄道コンテナ輸送に戻って、その選択肢を探ってみることとしたい。

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