2024年11月22日(金)

パラアスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた

2014年1月31日

 僕の場合はとにかく自分の殻に閉じ籠りたかったです。閉じこもって外の世界と隔絶したかった。「がんばれ」ってみんな励ましてくれるんですが、そんな時って頑張れないですよね、どう頑張ったらいいんだと。わからない自分が辛いんですよ。僕に限らず障害を負ったばかりの頃は、その事実を受け入れようがないんです。支援の会ができて逆に精神的に重圧になるなんてことはありませんか?

三阪:あくまでも一般論としての不安材料は、本人の思いや家族の思いとは違って、会がひとり歩きしてしまわないかという点です。初瀬さんも言うように「がんばろう」とみんながみんな、声を掛けてしまうことです。実は頑張れはタブーなんです。僕の場合は面会に来た人たちが帰りがけにみんな頑張れって声をかけるので面会謝絶にしてもらいました。あの時の僕はそんな言葉聞きたくなかったですからね。

初瀬:みんなの励ましはプレッシャーになりますから気を付けないといけません。

 僕の場合はお箸が使えないのでご飯をおにぎりにしてもらって食べました。歯ブラシに歯磨き粉も付けられず、手洗いも上手くできず、俺何やってんだろうと落ち込むばかりでしたから、励ましよりも放っておいてくれと言うぐらいの気持ちでした。

三阪:そうかといって親身になってお見舞いにきてくれる仲間がいなければ自分は変われません。それも事実です。何があっても「同期やないか」と腹を割って話してくれる仲間が絶対に必要です。

初瀬:僕は九州の病院に入院していたんですが、入院してから1カ月間毎日お見舞いに来てくれる友人がいたんです。東京に戻る時は、そいつも来てくれて大学の手続きなどをやってくれたんですが福岡に帰らなければならなくなって、僕の大学の1学年下の後輩と入れ替わったんです。

 それからその後輩は2年間ずっと駅で待っていてくれて、授業を一緒に受けてくれました。

 僕は障害者にならなかったら、この2人を今ほど大事には思わなかったと思うんです。

 出会いに恵まれていたんでしょうね僕は。

 だから先ほどお話にあった怪我を負った選手たちにも、きっとお見舞いにきている仲間の中から大切な友達ができて一生の友達になっていくんでしょう。


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