ーーラグビーはオリンピック競技にも決まりましたし、 2019年にはワールドカップが日本で開催されます。それに伴い若年層に普及が進んでいます。特に女子選手の増加が著しい。こうした現状を踏まえ、今後普及育成するにあたって怪我のことが懸念されますがお2人はどうお考えになりますか。
三阪:スポーツにおける事故、正直なことを言ってしまえば、その確率の高さだけを示されるととてもラグビーを勧めたいとは思いません。簡単に普及とは言えない背景があるように思えます。例えばですが、事故を防ぐには危ない姿勢で入った場合にレフリーがすぐに笛を吹いて止めるとか、危険な状況が少しでも見られた場合にはすぐにブレイクさせるとか、すぐに対応が取れる環境を整える必要があると思います。近年ブレイクダウンと呼ばれるボールの争奪はどんどんアプローチの仕方が危なくなっているんです。
初瀬:それがどのようなプレーなのかはわかりませんが、ラグビーは人と人が激しく入り乱れますから、そこでは予測できないことも起こり得るという理解で良いですか。
でもどうして危険なプレーが増えているんでしょう?
三阪:タックルされた後に相手ボールを奪うジャッカルというプレーがあるのですが、これができる選手が評価されるんです。もっとも相手ボールを奪う確率が高いからじゃないでしょうか。でもそれは頸椎むき出しの状態で非常に危険です。体ができていない経験不足で未熟な選手がやれば危険は高まると思います。
――現実に重篤な事故が起きているので、やはり何らかの支援のあり方を考えなければいけないんじゃないかという気はしているのですが、実際問題として、所属している学校やチームによって体制や考え方がまちまちで難しい問題ではあると思います。
三阪:そうですね、僕が通っていた公立校と名門私立高校では全く環境が違います。僕の母校も伝統あるチームではあるのですが、支援となった時にその規模は違い過ぎます。すぐに支援の態勢が整う名門校はOB会を含め、組織の体制が整っているんでしょうね。
初瀬:いろいろな支援の形があるのは良いこととしても、怪我を負った急性期から回復期に向かう時期は接し方が難しいですよ。