三阪:会の方は本人の心に火がついて、 「〇〇がしたい」と明確な意志が出てきたときに、自然にサポートしてあげるような姿勢であってくれればいいと思います。大事なことではあるんですが、早い段階ではプレッシャーにならないようにご家族のことも含め見守ることが大切です。
初瀬:一歩引いた形でしっかり家族ごと包む支援体制。そんなイメージの会がいいのかな。
それに大きな支援組織ができると、今まで知られたくなかった人にも自分の障害が知られることがあります。知られることを嫌がる子だっていると思うんですよ。現に僕は嫌でしたから。なるべくなら知られて欲しくない。スポーツで実績がある子ならば、なおさらそれが自然な思いじゃないでしょうか。
三阪:僕もその考えに賛成です。本人のやりたいと思うことをどうしたら実現させてあげられるだろうかと考える会であってほしいと思います。
でも、僕らの頃にはなかったけれど、障害を負った仲間を支える新しい形の体制ができるのは良いことだと思います。いくつか支援の会が立ち上がっているようなので、体制がどうあるべきかが見えてくると良いですね。
初瀬:家族がいたり、拒絶しても離れない友人がいたり、ちょっとずつ障害を受容していく中でしっかりと自分と向き合い、モチベーションを高く保って自分の道を見つけていくことが大切です。選択肢が少ない中でも就職先がないなんてことはありません。必ず自分を活かせる場所がありますし、イキイキと暮らせる生活があります。また、いろいろな形で社会に貢献することもできるはずです。早い段階で周囲が先に走り過ぎることなく、まずはゆっくりと自分を見つめる時間を見守ってあげてほしいと願っています。
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お2人ともパラリンピックをはじめ幾多の国際大会で実績を残し、それぞれの競技をけん引するアスリートである。しかし、若き日に底知れぬ悲しみや喪失感を味わい、自ら命を絶ちたいとまで思い詰めた経験を持っている。
そこに生きる力を与えたのが車椅子ラグビーであり、柔道だった。自らが障害者でありながら、2人の思考は障害者が社会の中で生き生きと積極的に暮らせるようになるには、何をするべきなのかに向かっている。
「支援の会」については今後ますます必要性が高まってくるはずだ。ただ、対談にもあったようにそのあり方については考察を深める必要がありそうだ。
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