2024年10月31日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年10月31日

 イランにとり最も賢明な戦略は、闇に隠れ、代理勢力の再構築に励み、いつの日か再び戦うことだ。また、イランがここで一歩引けば、中期的にイランの西側との関係改善の可能性が生じるだろうが、そのようなことをイランは望んでいないようだ。むしろ、イラン側は、賭け金を増やそうとしているように見える。

 イランが一歩も引かないという姿勢は、米国と西側諸国の対イラン政策に重要な影響を与えている。もし、イランに罰を与えることによりイランを抑止できないのならば、米国と西側諸国は、イランがイスラエルを攻撃し、代理勢力を支援する能力を破壊せざるを得なくなる。

 そのためにはイランの軍事能力の大部分を破壊する必要があるので大きな困難が伴う。しかし、もし、イランのイスラム革命体制が、事態をエスカレートさせようとするならば、米国とその同盟国に他の選択肢は無いであろう。かかる事態はイランにとっても恐ろしいことで、来年は、イランにとり事態は一層悪化するだろう。

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イランのイスラエル攻撃の本当の意図

 この論考は、イランが置かれている苦境を正確に指摘しており、今回の中東の混乱が米国発という点に触れていないということを除いて大変良い分析だ。つまり、今回の中東情勢の流動化は、バイデン大統領がレガシー作りのために昨年夏以降、強引にイスラエルとサウジアラビアの関係正常化を進め、その結果、パレスチナ問題が一層マージナライズされることをハマスが恐れ、これ以上イスラエルの影響がペルシャ湾地域に及ぶことをイランが恐れたという事情があった訳で、今回の混乱は米国発だという点だ。

 論説も指摘する通り、イランがミサイル攻撃でイスラエルに対して抑止力を回復させる程のダメージを与えていないのは間違いない。しかし、それはイランの無能さが理由ではなく、意図的に抑制してきたのだろう。


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