2024年10月31日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年10月31日

 イランのイスラム革命体制の目標は、革命体制の護持と域内の覇権国家となることであり、イスラエルと戦うというのはアラブの支持を得たり、域内に代理勢力を展開したりして、イランの域内の影響力を高めることが目的だ。つまり、イスラエルとの対峙はそのためのプロパガンダであり、手段に過ぎず、イランが本気でイスラエルの滅亡を意図していたとは思えない。

 従って、今回、イスラエルが本気でイランを挑発して来たことは、イランにとり迷惑以外に他ならず、イラン側は、全面衝突に至らぬようミサイル攻撃は市街地を意図的に避けていると見るべきだ。

イスラエルの勘違い

 しかし、どうもイランのプロパガンダを本気にしたイスラエルは本気でイランの革命体制の崩壊を狙っているようである。イランもこれまでのような抑制的な対応では済まなくなりつつある。

 今後、イスラエルが具体的にどのようにしてイランの革命体制を崩壊させようとしているのか、そして、ヒズボラが弱体化し、ミサイル攻撃も限界があるなか、体制の崩壊の危機を感じたイラン側がどのようにして抑止力の回復をしようとするのか要注目である。仮にイスラエルが勝利しても犠牲の大きすぎる勝利となろう。

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