日本の漁業は崖っぷち

2014年2月3日

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 日本の漁船はすでに20年以上の船齢となって老朽化しているものが大半を占めてしまっています(2012年 66.3%)。現状の資源管理制度では漁業自体が持続性があるとは言い難いために、新しい船を造るにしても、翌年に漁がどれだけあるかわからないので、投資リスクはかなり高いと思います。

 東シナ海等のサバ・アジといった魚種の資源量の低下の原因とされている、ここ数年で急増した中国の虎網船団などは、できるだけ短期間で漁船に対する投資分を回収しようとしますので、必然的に漁獲圧力を高めてしまいます。2013年の西日本巻き網船団の漁獲量は3年連続の不漁で5.6万トンと過去最低を記録してしまいました。しかし水揚げしたサバの主体は何と約8割がローソクと呼ばれる餌用にしかならない小型のサバです。残念なことに虎網船団の影響を受けている日本の漁船も、小型のサバを獲ってしまっています。日本は日本で、その漁獲内容に大きな問題があるのです。

近隣諸国で科学的な相互管理の仕組みを

 虎網の問題はここ数年の話です。日本の漁船の獲り過ぎでサバの資源が減少したことがわかるグラフがあります。(「ノルウェー式の資源管理は日本の水産資源復活に直結するか?」参照)。大儲けしているノルウェーを始めとする北欧の漁船では、99%以上のサバが、価格が高い食用向けにされていることは前回ご説明した通りです。中国を始めとする近隣諸国との資源管理に関する実現性の高いTACの設定を行い、まずは資源を回復させる手段を早急に講じないと、確実に共倒れの方向に進んでしまいます。

 具体的には、科学的な根拠をベースに、中国、台湾、韓国、日本にそれぞれに魚種ごとのTACを割り振り、漁船にはVMS(衛星通信漁船管理システム)を設置し、誰にでもわかる相互管理を実施。漁船は高い価格を払う国に水揚げできるようにする。ただし、最低半分は自国での水揚げを行う等、すでに北欧の国々の間では実施されていて、かつ資源回復と水揚げ高に貢献度が高い方策を実施していけば、各国の利益が増え、かつ漁業が持続的になっていくのです。

 この状況をこのまま放置すれば、各国の競争で資源が枯渇し、回復するにしても数十年を要する取り返しがつかない事態となってしまうことでしょう。資源が安定する政策が実施されれば、漁業は儲かる産業に再び生まれ変わります。そして、インプットではなく、肝心のアウトプット(漁獲量)を管理すれば、船を大型化しても、資源には問題ないことがわかります。

 さらに北欧のように若者が働きたい環境になれば、漁業に対する後継者も出てきます。まさに進め方次第で、漁業だけでなく地域経済も大きく左右する紙一重の状態です。そしてその最大の課題は、偏見をなくし成功している国々から学びそれを実施できるかどうかなのです。

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