田部康喜のTV読本

2014年2月5日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

観る者が不思議な感覚に包まれる脚本と演出

 ナンセンスなギャグとパロディーの数々は、バラエティ番組のテンポのよい展開のように、計算されていないようでいて、事件の謎解きに向かって巧妙に絡み合っていく。

 そして、探偵・刑事物の定石通りに、いったんは解決したかにみえる事件は、最初の謎解きが誤りで、最終的な犯人に至るまでにどんでん返しがある。しかしながら、二宮―鵜飼コンビのそれは、あまりにもナンセンスで、演技のせりふ回しがひとつ狂えば、物語が台無しになってしまうような意外なものであった。

 舞台の烏賊川市のゆるキャラであるイカのぬいぐるみの中の男性が犯人で、殺された宮司の長男の恋人をその中に引きずり込んで殺した、というのが、鵜飼の謎解きであった。ところが、きぐるみの中から出てきたのは女性だった。

 ドラマは二転三転して、鵜飼は犯人を突き止める。犯人は宮司が再婚した妻の娘だった。犯行は長男に対する恋心から、その恋人を殺したことがみえてくる。

 娘の告白を断ち切るように、鵜飼はいう。

 「2時間サスペンスドラマではないので、告白はなし。みなさんで聞いてください」と。

 謎解きは唐突に終了して、鵜飼の事務所のシーンに。殺人を予告された男性が、相談に訪れる。そして、「つづく」の文字が。

 剛力―玉木コンビは、これまでにない探偵の主人公に躍り出たのではないか。仲間―阿部のコンビがそうであったように、新しいコンビにとって、新鮮な役回りであるからだ。そして、脚本と演出によって観る者が不思議な感覚に包まれる。 (敬称略)

■訂正履歴
2ページ目「市川崑監督の金田一耕助シリーズの「八つ墓村」のパロディーである。」は正しくは「市川崑監督の金田一耕助シリーズの「犬神家の一族」のパロディーである。」でした。お詫びして訂正致します。該当箇所は修正済みです。(2014/2/5)

 


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