2024年11月20日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年11月20日

 この場所は8年間休眠状態だった。そこをイスラエルが爆撃したということは、他の核施設に対する脅かしと解釈する他ない。

 イスラエルはイランの核施設に対する本格的な攻撃には米国の支援を必要とするであろう。イスラエルは米国の支援を得られるかも知れない。イスラエル筋によれば、米国の中央軍は今回の攻撃の立案に当たりイスラエルと例外的に緊密に作業したとのことである。

 10月4日、トランプはイスラエルに核施設を狙うよう奨励した。11月5日にトランプが再選されれば、ネタニヤフはそのような攻撃のための機は熟したと決定するかも知れない。イランにとって、それをやり過ごすことは今や以前に比して遥かに困難であろう。

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イスラエルが狙っていたもの

 10月26日のイスラエルのイランに対する報復攻撃は、防空能力とミサイル製造インフラの破壊を狙った精密で計算された攻撃であったようである。戦闘機を中心とする3波の攻撃で約20カ所を攻撃したらしい。ガラント国防相(当時)は1967年の六日間戦争以来最も重要な空軍の作戦だったと述べているが、この記事は攻撃が重大なインパクトを持つ所以を説明している。

 要するに、イスラエルはイランを将来の攻撃に対してこれまでになく脆弱な状態におき、イランのミサイル製造能力に重大な損害を与えることに成功したということである。

 イランの防空システムの重要な部分を構成していたロシア製のS-300対空ミサイルおよびイラン製の長距離レーダー「Ghadir」が無力化され、あるいは破壊されて、イランには短距離の防空システムしか残されていない状態とされている。

 専門家によれば、イスラエルが攻撃した対象には、ミサイルの固体燃料の生産に関係する施設が含まれているらしい。イスラエルは高性能のミサイル製造能力を削ぐことを狙ったようである。

 イランの軍事戦略は揺らいでいるように見える。イランの代理勢力として前方展開するヒズボラ、ハマスをはじめとするこの地域のイランが後援する民兵組織が戦略の一つの柱であるが、ヒズボラとハマスがイスラエルによって壊滅的な打撃を被った状況では、彼らにイスラエルを抑止する役割は期待出来ない。


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