2025年1月16日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年12月10日

 フランシス・フクヤマは、トランプの関税引き上げについて、インフレや報復等の大混乱を招き、「トランプは恐らく措置を撤回することになるだろう」と述べる。関税引上げは中国を交渉に引き出すための手段だとの見方もあるが、トランプは、同盟国を含む全ての国に対して関税を上げると言っている。

 しかし、かかる手法が成功するとは限らないし、関税引上げは世界貿易機関(WTO)違反となる。もっと熟慮したコストの低い、大局的で強力な対中外交や同盟国との関係を模索すべきではないだろうか。

大きな転機にある政治

 米国の二大政党とその支持基盤は、有権者の深まる不満と社会の情報化、トランプという特異な個人の出現により、今大きな転機にある。今回トランプのMAGA運動(ポピュリズム)が、従来の米国の政党支持基盤を崩そうとしている。

 これまで大まかに、共和党は経済界に支持され、個人の自由や自由貿易を推進し、民主党は労働組合や左派に支持され、保護貿易を推進すると考えられてきた。従来民主党の基盤と見られてきた黒人男子やラテン系男子等の有権者は、両党の間で浮動化している。それが何処に落ち着くのかはいまだ分からない。

 状況は、いまだ不安定で過渡期のような気がする。民主党も党内総括をしているだろうが、もっと地域に根差した政治活動を強め、軸を中道に移し幅広い政党にすべきだろう。

 今や政治におけるSNSの影響力は恐るべきだ。先日の兵庫県知事選挙の例もあるように、これは全世界的な傾向であろう。

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