12月14日、国会で弾劾議案が可決された。大統領は一時的に職務を停止され、首相が大統領職務を代行し、憲法裁判所が180日以内に弾劾が妥当かどうか、最終的な決定を出す。
憲法裁判所の裁判官は9人、現在3人が空席で、裁判官は6人である。大統領弾劾のためには裁判官6人以上の賛成が必要である。
憲法裁判所が弾劾妥当の決定を出せば大統領は罷免され、60日以内に大統領選挙が行われる(17年朴槿恵の例)。弾劾訴追が棄却されれば、大統領は職務に復帰する(04年盧武鉉の例)。
米国も示す安全保障への懸念
最大野党・共に民主党は、圧倒的多数で国会を支配している。同党は4月の選挙で大勝し、国会の過半数を増大させた。
李在明代表(起訴、控訴中)の下で激しい反政府活動を推進している。医療改革など政府の法案に悉く反対し、25年予算の承認を阻止し、政府高官弾劾を加速化(これまで20件以上)し、金建希夫人のスキャンダルも執拗に攻撃している。
朝鮮日報等は、今の問題について野党に責任の一端があると批判する。非常戒厳が議論になる最中の12月5日には、野党は監査院長(崔載海)とソウル中央地検長(李昌洙)ら3人の検事に対する弾劾訴追案を野党だけで成立させた。憲法上、国の最高監査機関である監査院長の弾劾訴追は初めてである。野党は、弾劾攻勢をかけ続ける構えであり、ゆくゆく韓悳洙等の弾劾訴追も検討中といわれる。
米国は、安全保障と軍の統帥権との関連で今の状況を懸念している。ゴールドバーグ駐韓米国大使は12月9日、韓悳洙(首相)や韓東勲(与党代表)に会い、「北朝鮮が挑発してきたら誰と話せばいいのか」等と韓国側に質したという。
米国側は、現在の体制は韓国の憲法に合致する措置なのかとも訊いているという。日本も同様の懸念を持っているだろう。