2025年1月5日(日)

田部康喜のTV読本

2025年1月1日

江戸時代の版元で横浜流星は飛躍か

 25年の大河ドラマ『べらぼう』において、江戸時代の版元の蔦屋重三郎の主役に抜擢された、横浜流星は「悪の華」の演技ができる逸材のひとりである。大河ドラマのあらすじは明らかになっていないが、蔦屋重三郎は幕府の出版禁止と闘う出版人として描かれていくのだろう。

横浜流星は大河ドラマの主役でどう俳優として化けるのか(NHK 2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~』公式Xより

 横浜が一段とスターとしての値打ちをあげるチャンスである。ここでは、幕府が悪ということになるのだろうか。弾圧を加える側との駆け引きのなかで、過去の演技の片鱗がみえると考える。

 映画『嘘喰い』(22年、中田秀夫監督)では、天才ギャンブラー・斑目貘(まだらめばく)を演じて、いかさまやだましを駆使しながら、ギャンブルの秘密組織に挑む。ドラマ『私たちはどうかしている』(20年、日本テレビ)において、浜辺美波とW主演で和菓子店の寡黙な主人として、ミステリーを演じた。

 そして、映画『正体』(2024年、藤井道人監督)は、ロングランで大ヒットとなり、横浜流星の若き日の代表作となるだろう。一家殺しの汚名を着せられた鏑木慶一(横浜)が脱走を図って、真相を解明しようとする。施設で育った鏑木が、逃走中にさまざまな人たちと触れ合って、それらの人々は彼の無実を信じる。

 鏑木を追う刑事・又貫征吾(山田孝之)との逃走、追走劇は息を飲む。

今や世は河合優実の「映画祭」

 幾多の作品のオファーを受けている、山田孝之は「全部を引き受けていたら、『山田孝之映画祭』になってしまいます(笑)」と、インタビューに応えている。

 いま、山田と同じ立場の「映画祭」になってしまいそうな、いやすでになっているのは、河合優実ではないか。

 ドラマ『不適切にもほどがある!』(脚本・宮藤官九郎、24年・TBS)の女子高校生役で大ブレイクしたが、映像界ではすでに存在感を誇っていた若手俳優である。

河合優実(右)を一躍有名にしたドラマ『不適切にもほどがある!』(同ドラマ公式ホームページより)

 連続ドラマ初主演は『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(23年、NHK)。映画では『由宇子の天秤』(21年、春本雄二郎監督)などの演技によって、各種の映画賞の新人賞をそうなめにしている。


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