日本にだけ中国への入国ビザ(査証)の免除が遅れたのはその証左だろう。中国が日本に嫌がらせをしていただけだが、政府は返礼のように、訪日する中国人富裕層が10年間何度も利用できるビザを新設するなど中国に媚びる政策を打ち出してしまった。歴史戦を想定していれば、中国が沖縄など日本国内に親中勢力の拡大を目的とした浸透工作や認知戦を繰り広げるであろうことを考えつかなかったのだろうか。
産官学で歴史研究機関を設立せよ
竹島問題にはじまり、歴史教科書問題、慰安婦問題、徴用工問題、そして新たに尖閣諸島問題や沖縄問題が加わる歴史戦。関東大震災時の朝鮮人虐殺についても23年8月、当時の松野博一官房長官が「政府として調査した限り、事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」と述べている。だがそれは、敗戦直前に機密を含む重要書類を焼却してしまった裏返しでもあるだろう。
中国が「琉球研究センター」を設立するように、政府は早急に産官学が協力する戦略的かつ中立的な歴史研究機関を設立し、戦前、戦中、戦後の歴史と関係法について継続して調査研究し、分析した内容を公表する必要がある。現在は歴史に関心のある研究者が、個人の立場で研究しているだけであり、この状態が続けば、日本は虚偽や捏造の歴史であっても、苦杯を舐め続けることになる。