2022年8月10日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年2月26日

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 中国の不動産業の中枢に身をおくこの2人が口を揃えて「バブルの崩壊」を警告していることから、事態の深刻さは推して知るべしだが、実は今年1月に入ってから、両氏の警告はいよいよ目の前の現実として現れ始めたのである。

 たとえば上述の経済参考報など複数の経済専門紙が2月10日の紙面で掲載した記事は、今年1月に、中国全国の9割以上の都市で不動産の成約件数が前月比で大幅に下落したと報じた。一部の都市では半分程度の下落幅さえあるという。大連の場合は53%、深圳の場合は44%の下落が記録されているそうだ。

 要するに、1月に入ってから不動産は全国で一斉に売れなくなっているということであるが、それはすなわち、価格下落の前兆なのである。

 案の定、2月18日付の中国証券報という経済専門の全国紙の記事によると、中国の多くの中小都市で不動産価格暴落の個別ケースが観察されていて、廈門、温州、海口、洛陽などの「地方中堅都市」では不動産価格の全体的下落はすでに始まっているという。

 その2日前の16日、呂諫氏という著名な民間経済評論家もブログで、中国一部の都市で不動産価格の「暴落」が始まったと報告している。

 また、19日には、中国最大のニュースサイトの一つである「捜狐網」の「財経綜合報道」コーナーでは、「中国不動産バブル崩壊の5つの兆候」と題する記事を掲載した。「不動産市場の冷え込み」、「大手開発業者の売り逃げ」などの5つの「兆候」を挙げ、不動産価格の暴落が迫って来ていることへの警告を発した。

 まさにこのような流れの中で、冒頭の杭州不動産市場の「値下げ事件」が起こるべくして起こったわけであるが、それは間違いなく、中国における史上最大の不動産バブル崩壊劇の幕開けを告げたものであろう。

社会的不安の拡大も懸念

 実は、この崩壊劇の序章は2013年6月にすでに始まっていた。中国の上海株急落のニュースが世界中のマーケットを駆け巡り、関係者たちに大きな衝撃を与えたのだ。詳細は過去記事「上海株急落で露呈した中国経済の深刻な『歪み』」で解説したのでそちらを参照されたい。

 2009年末から中国でインフレが生じ、2011年夏にはピークに達したが、中国経済は今でも、11年夏に経験したような深刻なインフレ再燃の危機にさらされている。そして、食品を中心とした物価の高騰=インフレが一旦本格的に再燃すると、貧困層のよりいっそうの生活苦で社会的不安が拡大して政権の崩壊につながる危険性さえあることも、上記の記事で指摘した通りだ。

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