2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月3日

 この戦略には、米国も含まれている。米国は、同盟国である日本とも、ますます国際的に重要なアクターとなっている中国とも、良好な関係を得たいと思っている。日中関係が緊張すると、両国とも、米国に味方についてほしいと望む。米国にとって、例えば北朝鮮問題等、日米中3か国が協働することに利益があるのに、その3か国が別の方向を向いていては、それを協調させるのは難しい。また、靖国問題を解決するために米国ができることは殆どない。この問題は、日中両国のナショナル・アイデンティティに関わることだからだ。結果として、オバマ政権は、慎重にするしかないだろう、と述べています。

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 リチャード・ブッシュは、約20年間、議会、情報機関及び国務省と公的機関で働いた人物です。AIT(アメリカの台湾関係窓口)の所長も務めた中国・台湾通です。論文も数多くありますが、学術的スタイルのものが多く、政策論には慎重です。この論文でも、もう少し日本の肩を持っても良いという印象はあります。台湾問題を論じるに際しても、中台間に中立的で、AIT所長としては論文にインパクトが無いことが多いです。

 概して、ブッシュの意見は、時の国務省の平均的意見を代表していると考えて良いと思います。

 上記論説は、安倍総理の靖国参拝を受けて、中国はお決まりの対応をしてくるだろうと、具体例を列挙したものです。結論として、米国は、靖国問題に関わらないのが得策である、と述べています。両国のナショナル・アイデンティティの問題というのは、その通りでしょう。

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