今月のお悩み「東京都ではカスハラ防止条例が制定され、国も企業に防止策を
義務づけようとしています。何から取り組めばいいですか。」
義務づけようとしています。何から取り組めばいいですか。」

(Yuto photographer/gettyimages)
2010年代前半頃から悪質なクレーマーに対して「カスタマーハラスメント(カスハラ)」という言葉が使われ、社会問題として認識されるようになった。厚生労働省は次のように定義している。
「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態度により、労働者の就業環境が害されるもの」
要はクレームが悪質化したものであって、言葉による攻撃や肉体的接触、精神的圧迫、性的カスハラなどがある。企業としては無論、上司も部下を毅然として守らなければならない。
もっともクレームとは本来、顧客の合理的かつ正当な権利行使でもある。企業としても、クレームは自分たちでは見えにくい気づきを与えるものだ。真摯で誠実な対応を心がけることで、企業経営に改善の機会を与えてくれる。さらに、適切な対応ができればクレーム客は生涯顧客ともなりうる。
カスハラの中にはクレーム対応の稚拙さにより、カスハラへとエスカレートさせてしまうこともある。したがって、クレーム対応力の向上は必須であり、それでも起こり得るカスハラにはマニュアルが必要となる。もっとも、マニュアルだけでカスハラは防止できない。顧客への姿勢が誤っていたら、決めごとは絵に描いた餅に終わることは論を俟たない。