欧州とロシアはエネルギー供給を通し相互依存が高まっており、短中期でこの関係を大きく変えるのはお互いに難しいことから、米国の意向とは異なり、欧州諸国がロシアに対し強い行動を取ることは難しいとみられる。売り手と買い手の立場を短期的に考えると、強いのは収入をしばらくなら我慢できる売り手のロシアだろう。買い手EUはエネルギーの供給がなくなると忽ち困ることになる。
仮にロシアが天然ガスを材料にし、EU向け供給を絞るとEUが急遽LNGの買い付けを行い、スポット取引の天然ガス価格が上昇する可能性がある。原発の停止により化石燃料輸入が増えている日本には痛手だ。
中期的には米国から天然ガスの供給が日本と欧州向けに始まり、さらにシェールガスの生産が欧州の一部諸国で進めば、ロシアの影響力も低下する。ロシアとEUとの関係は、エネルギー供給多様化の重要性を学ぶテキストになる。
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