2025年3月26日(水)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2025年3月11日

予約システム導入やパレット利用が進んでも

 市場での待機時間の長さを訴える声は多い。

「ここ数年、発荷主は待機も荷役も減らしてくれているのですが、要は着荷主のところが変わらない。市場に行くと、3~4時間待機させられるから、それで拘束時間は完全にアウトになっちゃう」

 「2024年問題」に対応して、巨大な物流センターや大型倉庫もできている。効率化が進んでいるように見える現場でも、以前よりも待機時間が長くなっている、という話も聞く。

 政府は、標準的な運賃を示し、そのなかには待機時間料の目安を記している。しかし、特に荷物の届け先で待たされる場合、その料金の受け取りは極めて難しい。

 物流現場では、1~2時間の待機は珍しくなく、時には5~6時間も待たされる。運送会社は、発荷主と運送契約を締結して、運賃を受け取るが、運送契約にはない待機や附帯業務を求められることは、発荷主のみならず、着荷主のところでも起きる。着荷主のところで発生した料金は、運送終了後に発荷主に支払いを求めることになるが、後づけで料金を請求する慣行はない。

 発荷主にその料金を請求したことがある運送会社は「『そんなの出せないよ』と言われて、一瞬で話し合いは終わった」と述べた。着荷主で発生した待機時間や附帯業務に対して、料金を受け取っているという事業者を、筆者はこれまで聞いたことがない。

 荷主のなかには、ドライバーの待機時間を減らそうと、予約システムを導入する企業が増えている。だが、予約システムを導入しても、「結局、荷積み・荷卸しスペースが変わっていないから、中で待っているんですよ」といった声もよく聞く。つまり、取り扱う荷物量に見合った荷捌き場がないままでは、予約ができたとしても、かかる時間は変わらず、ドライバーはどこかで待たざるを得なくなっている。

 予約システムで到着時間が調整されても、いいことばかりでもない。「以前は朝8時に行って、1~2時間待てば荷物が卸せたのに、予約システムが入ってからは午後1時に来いとか言われるんですよ。次の荷物に間に合わなくて非常に困っている」といった不満が広がっている。

 荷役を減らそうとパレットの利用も進んできた。しかし、共通パレットが普及していないため、「発荷主と着荷主でパレットが違う場合が多い。結局、パレット積みで持って行っても、着荷主のところで別のパレットに積み替えるように求められるから、変わらず手積みをしていますよ」というドライバーが少なくない。

矢野裕児、首藤若菜
ウェッジ
2,090円(税込み)
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る