世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月27日

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 国内外におけるこのような見方の問題点は、米国が依然として世界最強の国家であり、今後数十年間はその地位を保つという事実にある。

 中国が国の規模と急速な経済成長により米国との比較で相対的に力を増すことは殆ど確実であろう。しかし、仮に中国が将来世界一の経済大国になったとしても、一人当たりの所得は米国に何十年も遅れをとっているであろう。

 更に、仮に中国が大きな国内的政治問題に直面せずに済んだとしても、GDP成長率だけに基づく予測は一面的であり、米国の軍事面及びソフトパワー面での優位を無視するものである。このような予測は、中国のアジアにおける地政学的な弱点も無視している。

 米国の開放とイノベーションの文化は、ネットワーク時代においては、米国がグローバルなハブとしての役割を担うことを保障している。米国の指導者が賢明な政策を取れば、米国はそのようネットワークや同盟関係から利益を受けられる立場にある。構造的には米国と同様の経済と一人当たり所得を有する二つの存在-欧州及び日本-が重要となるが、何れも米国の同盟国である。バランス・オブ・パワーの見地からも、このような関係は米国にとってプラスになるが、その為には、米国の指導者がこのような同盟関係の維持と国際的な協力を保障する必要がある。

 現在の米国について衰退という言葉を使うのは誤解を招く。オバマ大統領もそのような考えを拒絶している。研究・開発、高等教育、起業家活動のリーダーである米国は、古代ローマとは違い、絶対的な衰退をしている訳ではない。我々は「ポスト・アメリカの世界」に生きている訳ではなく、最早、20世紀のような「米国の時代」には生きていないだけである。今後とも、米国は「一番」ではあるが、「唯一」ではないということである。

 孤立は解決にならない。アイゼンハワー大統領が1950年代に提唱したような選択の戦略が良い。スマート・パワーの戦略は、その限界を明確に評価することから始まる。優越国家が全ての国境をパトロールし、何処にでも力を投入する必要は無い。アイゼンハワーが1954年にフランス側についてベトナムに直接介入することを拒否したのはそのためである。

 アイゼンハワーは他の点でも正しかった。米国の軍事力は経済力の維持にかかっていると考えた点である。国内での国造りは孤立主義ではなく、スマートな外交政策にとって中心的なことである。

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