
南米ペルーの漁民が、太平洋で95日間漂流した末に救助され、家族との再会を果たした。ウミガメや鳥、ゴキブリなどを食べて生き延びたという。
マクシモ・ナパ・カストロさん(61)は昨年12月7日、ペルー南部のマルコナから2週間の予定で漁に出発した。
しかし10日後、嵐によって船が航路を外れて漂流。船内の物資はどんどん減っていった。
家族は捜索を開始。ペルーの海上巡視隊も出動したが、カストロさんは見つからなかった。
しかし今月12日、エクアドルの巡視船「ドンF」が、沿岸から1094キロ離れた海上でカストロさんを発見した。カストロさんは脱水状態で生命が危うい状態だったという。
家族のことを考え
カストロさんは、船で雨水を集めたり、見つけたものを食べたりして、生き延びたとされる。
14日にエクアドル国境近くのパイタで兄弟と感動的な再会を果たしたカストロさんは、ゴキブリや鳥を食べた後、ウミガメが頼りだったと、漂流の様子を語った。最後の15日間は何も食べていなかったという。
また、生後2カ月の孫娘など、家族のことを考えることで耐える力を得たと、カストロさんは話した。
「毎日、母のことを考えていました。神に感謝しています。もう一度チャンスを与えてくれたことに感謝しています」
母親のエレナさんは地元メディアに、親族はずっと前向きだったが、自分は希望を失いかけていたと語った。
地元でお祝い
カストロさんは救助された後、診断のためにパイタに移動し、その後、ペルーの首都リマに飛行機で移送された。
ホルヘ・チャベス国際空港では、取材陣に囲まれながら、娘のイネス・ナパさんと感動的な再会を果たした。イネスさんは、ペルーの国民的飲料「ピスコ」を持ってカストロさんを迎えた。
地元メディアRPPによると、カストロさんの故郷であるイカ県サン・アンドレス地区では、近隣住民や親族が町を飾り付けて生還を祝った。
めいのレイラ・トーレス・ナパさんは、漂流中に過ぎてしまったカストロさんの誕生日を祝う予定だと話した。
レイラさんはRPPに対し、「おじの誕生日は特別な日でした。海で漂流していた間、おじが食べられたのは小さなクッキーだけだったので。彼が再び生まれたことを祝うことは、私たちにとって非常に重要です」と語った。
昨年にはロシアのミハイル・ピチューギンさんが、オホーツク海で小型のゴムボートで2カ月以上漂流した後、救助された。
中米エルサルヴァドルで漁業を営むホセ・サルヴァドール・アルヴァレンガさんも、太平洋で14カ月間、漂流するという驚異的な試練を耐え抜いた。
アルヴァレンガさんは2012年末にメキシコの沿岸から出発し、2014年初頭にマーシャル諸島で発見された。アルヴァレンガさんも、雨水とカメで生き延びたと語っている。
(英語記事 Fisherman rescued after 95 days adrift eating turtles)