
ジョージ・ライト記者、ジャクリーン・ハワード記者
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領との電話協議を翌日に控えた17日、ウクライナでの和平の合意に関し、すでに「多くの要素」でプーチン氏と合意に至っていると述べた。
トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、プーチン氏と18日朝に話をすると投稿。すでにいくつかの合意はできているものの、まだ協議すべき「多くのことが残っている」とした。
そして、「毎週、双方の兵士2500人が死んでいる。今すぐ終わりにしなくてはならない。 プーチン大統領との電話をとても楽しみにしている」と書き込んだ(編集注:太字は原文では大文字強調)。
トランプ氏はこれよりも先、電話協議について、「和平合意、停戦、平和を実現できるか確認する」と記者団には話していた。
一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は17日、恒例の夜の演説でプーチン氏を、戦争を長引かせていると非難した。
ゼレンスキー氏は、「この案はとっくに実施されていたはずだ」、「戦時は1日1日が人命を意味する」と述べた。
停戦交渉の進展をめぐっては、トランプ政権内から矛盾した発信もされている。
マルコ・ルビオ米国務長官は、サウジアラビア・ジッダでウクライナ政府高官と会談後、協議の「大部分」は「交渉プロセスがどのようなものか」に関してなされ、「具体的な条件」についてではなかったと述べた。
13日にモスクワでプーチン氏と会談したスティーブ・ウィトコフ中東担当特使も、慎重な言葉で説明している。
英仏がプーチン氏に圧力
こうしたなか、イギリスとフランスは17日、プーチン大統領に対し、ウクライナとの和平合意を望んでいることを証明するよう求めた。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、停戦案に同意したウクライナのゼレンスキー大統領の「勇気」をたたえ、ロシアにも同様の対応を要求した。
マクロン氏はソーシャルメディア「X」に、「死者はもうたくさんだ。暮らしが壊されるのはもうたくさんだ。破壊はもうたくさんだ。銃を黙らさなければならない」と書き込んだ。
イギリスのデイヴィッド・ラミー外相は、プーチン氏が「今すぐ完全かつ無条件の停戦」に同意すべきだと、英下院で発言。これまでのところ、プーチン氏が和平合意に真剣だと示すものは見られないとした。
そして、イギリスとその同盟国にはロシアを「真剣に」交渉させるための「カードがもっとある」と警告した。
米ホワイトハウスは17日夜、ウクライナでの和平が「かつてないほど近づいた」と述べるなど、前向きな姿勢を見せた。
ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は記者団に対し、トランプ氏が和平合意を実現すると「決意を固めている」と述べた。
首脳協議の内容については、「ロシアとウクライナの国境にある発電所について、ウクライナ側と協議することになった。そのことを明日、プーチンとの電話で伝える」とレヴィット氏は話した。
この発電所は、ヨーロッパ最大の原子力発電所のザポリッジャ原発を指しているとみられる。同原発は2022年3月以来、ロシア軍が掌握しており、ここでの戦闘が原発事故を引き起こすことへの懸念が根強い。
トランプ氏は16日、停戦交渉でどのような譲歩を検討しているのかと記者団に問われ、「土地について話すことになる。発電所について話すことになる。(中略)私たちはすでにそのことについて、特定の資産を分割することについて、話をしている」と述べた。
ロシアはコメントせず
他方、クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は、両首脳が話し合う内容についてはコメントを避けた。首脳会談の議題について事前に発言することについて、「そのようなことは決してしない」とも述べた。
プーチン氏はこれまで、停戦を支持すると述べる一方で、和平実現のための条件も示している。
争点の一つは、ロシア西部クルスク州だ。ウクライナは昨年8月に同州への軍事侵攻を開始し、領土の一部を占拠。ロシアはここ数週間、奪還に力を入れ、今ではプーチン氏が同州を完全に取り戻したと主張している。
プーチン氏はまた、停戦や東部の前線をどのように監視するのかについて、多くの疑問を提示。北大西洋条約機構(NATO)の部隊の派遣は決して認めないとしている。
ウクライナとアメリカの代表団は先週、サウジアラビアで和平案を協議した。
代表団は長時間、部屋にこもった後、30日間の停戦案を発表。ウクライナは、これを受け入れる用意があると表明した。
一方、フランスのマクロン大統領と、就任間もないカナダのマーク・カーニー首相が17日、会談した。それぞれがウクライナへの「揺るぎない」支援を継続し、ロシアに「明確な約束」を求めていくと強調した。
(英語記事 Trump says 'many elements' agreed to ahead of Putin call)