
イギリスのキア・スターマー首相は20日、ロシアとウクライナが和平合意に至っても、それが守られる体制が伴わなければ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は合意を破るだろうと発言した。
ロンドンではこの日、各国の軍事指導者らによる会議があった。20カ国以上が出席し、ウクライナの安全保障を保証するための部隊派遣案について協議した。
スターマー首相は、会議が開かれた英常設統合司令部で、ロシアとウクライナの戦闘を停止するための合意は、「安全保障の取り決めがなければ長続きしない」と述べた。
また、この取り決めがロシアに対し、「合意を破った場合に起こる厳しい結果」を明確にするだろうと述べた。
スターマー氏は、イギリスとその同盟国が「政治的な勢い」から「軍事的な計画段階」に移行していると述べた。その上で、この軍事計画を、合意成立前に「今すぐ行う必要がある」と強調した。
「この作業を行うことが極めて重要だ。プーチンは確実に、何の裏付けもない合意を破るからだ」
「我々は、それが以前に起こったことを知っている。私は、それが再び起こると確信している」
一方でスターマー氏は、エストニアなどに派遣しているイギリス軍をウクライナに再配置する計画を否定し、「他国へのコミットメントから後退することはない」と述べた。
スターマー氏はかねて、ウクライナの安全保障を保証する「有志連合」を提唱している。この日の会議には、イギリスからジョン・ヒーリー国防相が出席した。
英首相官邸は、可能性があるとされる派兵の詳細については、軍事指導者らが「微細な計画」に関与することになると述べた。
イギリスは今月初めに26カ国が参加した首脳会議(サミット)の後、軍事指導者の会議を招集した。
防衛・外交筋は、派遣されるかもしれない部隊について、「平和維持軍」ではなく「保証軍」として説明されるべきだとしている。
スターマー氏はこの日、イギリスの核潜水艦が建造されている北西イングランドのカンブリア州バロー港を訪れた。
スターマー氏は記者団に対し、ロンドンでの会談は「ウクライナの空、海、国境を安全に保つ方法」に焦点を当てていると述べた。
英紙デイリー・テレグラフによると、会議では、イギリスの戦闘機タイフーンをウクライナに派遣し、部隊に航空支援を提供する案が協議されたという。
会議に先立ち、イギリスのルーク・ポラード軍部担当相は、ウクライナに派遣される可能性のあるイギリス軍について、「まだ具体的な人数については話していない」、「部隊の形をまだ設計している段階だ」と説明した。
また「たとえば、ある国がタイフーンのような高速戦闘機を提供する場合、他の国々はどのように協力するのか、どこで燃料補給を行うのか、他国の能力とどのように連携するのか、といった問題がある」と述べた。
ポラード氏は、ウクライナ内外のいかなる部隊も「できる限り信頼性の高いものにする」ための議論が行われることを期待していると述べた。
米ウと米ロの会談、来週サウジアラビアで
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこの日、ノルウェーを訪問し、ロシアは「戦争を長引かせるだけの不必要な要求をやめるべきだ」と述べた。
ドナルド・トランプ米大統領がプーチン大統領とゼレンスキー大統領との間でそれぞれ行った電話会談は、米ホワイトハウスが想定していた30日間の停戦を実現できなかった。
ゼレンスキー氏はまた、ウクライナの代表団が24日にサウジアラビアで米代表と会談する予定だと述べた。クレムリン(ロシア大統領府)も、同日に米ロ会談があると認めている。
一連の会談は、3年以上の戦闘の後、アメリカが両国間の停戦を仲介しようとしている中で行われる。ロシアは2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始した。
ゼレンスキー大統領とプーチン大統領は、アメリカとの協議の中で原則として停戦に合意しているが、条件で折り合わず、停戦は実現していない。
(英語記事 Putin would breach Ukraine deal if it is not defended, says PM)