
内戦の続くスーダンの戦争監視団体は25 日、スーダン軍が西部ダルフール地域の市場を空爆し、数百人を殺害したと非難した。
スーダンでは2023年4月に、政府軍と準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」の間で内戦が勃発した。
それ以降、両陣営による暴力を記録している団体「エマージェンシー・ロイヤーズ」は25日、ダルフールのトゥラ市場が爆撃され、この「恐ろしい虐殺」によって数百人が負傷したとした。
ソーシャルメディアに投稿された動画には、廃墟となった屋台が煙を上げている様子や、判別不能なほど焼け焦げた遺体が映っている。一部の動画は、ダルフールの大部分を支配するRSFが撮影したとされる。
一方、軍の報道官は、攻撃では民間人を標的にしておらず、正当な敵のみを標的にしたと述べた。
スーダン軍とRSFはどちらも、民間人の居住地域を砲撃していると繰り返し非難されている。
RSFはダルフールでドローン(無人機)を利用している。一方、軍は戦闘機を保有しており、ダルフール全域でRSFの拠点をたびたび空爆している。
BBCは、トゥラ市場への攻撃について、死者数や正確な日付を確認できていない。攻撃された市場は、軍が掌握するエルファッシャー市の北約35キロに位置する。
ダルフールの活動団体「ダルフール正義と平和イニシアチブ」は、攻撃が24日にあったと主張。内戦開始以来、最も死者の多い爆撃だったと説明した。
残虐な内戦の激化に伴い、ここ数カ月間で、爆撃や砲撃による民間人の死者が増加している。
また、内戦が始まってから、これまでに約1200万人が家を追われている。これは、ベルギーやチュニジアの総人口に相当する。
世界最悪の人道危機
国連によると、スーダンは世界最悪の人道危機に直面している。飢饉(ききん)が広がり、人口の半数以上が「深刻な食料不安」の状況にあるという。
また、推定はさまざまだが、少なくとも15万人が戦闘で命を落としたと言われている。
アメリカは今年1月、RSFが西部ダルフール地域でジェノサイド(集団虐殺)を行ったとして、指導者に制裁を科した。RSFがこの地域で非アラブ人を殺害し、民族を理由に女性に対して残虐な性的暴行を行っていると指摘した。
RSFはこうした非難は当たらないとしている。
同国では2021年10月、軍トップのアブドゥル・ファッターハ・ブルハーン将軍がクーデターを起こした。クーデター後に主権評議会(暫定政権)の議長となったブルハーン将軍に従う陸軍部隊と、副議長のモハメド・ハムダン・ダガロ司令官(通称ヘメディティ氏)に従うRSFが対立し、内戦が勃発した。民政移管のプロセスをめぐる協議では、RSFを国軍へ統合する時期について両者が折り合わず、緊張が高まっている。
(英語記事 Sudan army accused of killing hundreds in airstrike on Darfur market)