2025年4月6日(日)

BBC News

2025年4月2日

エジプト国境にあるガザ地区南部ラファの避難民キャンプの子供たち

イスラエルが3月18日にパレスチナ・ガザ地区への攻撃を再開し、同国とイスラム組織ハマスの停戦合意が事実上崩壊して以降、少なくとも322人の子供の死亡が報告されていると、国連児童基金(ユニセフ)が31日に発表した。

ユニセフによると、同時期に負傷した子供は、少なくとも609人に上るという。

同機関のキャサリン・ラッセル事務局長は、「ガザでの停戦は、ガザの子供たちのために切実に必要とされているライフラインと、復興の道筋への希望を与えた」、「しかし、子供たちは再び、致命的な暴力行為と困窮の連鎖に陥っている」と述べた。

イスラエルは、停戦合意の第1段階を延長し、ガザで今も拘束されている人質59人を解放するというアメリカの提案をハマスが拒否したと非難し、3月18日にガザへの攻撃を再開した。これに対しハマスは、イスラエルが1月に合意した当初の取り決めを破棄したと非難している。

ユニセフは、ガザで「容赦ない無差別爆撃」が再開され、3月31日までの10日間で、1日あたり約100人の子供が死亡または負傷したとしている。

死亡した子供の大半は家を追われ、その場しのぎのテントや損壊した家屋に身を寄せていたという。

ユニセフが調査に用いたデータは、ハマス運営のガザ保健省が公表したもの。国連やほかの国際機関は、このデータを信頼できるとしている。

BBCなどの外国のジャーナリストは、ガザに独自に入ることをイスラエルに阻止されている。そのため、ハマスとイスラエルがそれぞれ提示するデータを検証することはできない。

イスラエル国防軍(IDF)は、「作戦行動中の民間人の被害を抑えるよう取り組んでいる」、「武力紛争法を含め、適用されるすべての国際法的義務を尊重している」とBBCに述べた。

また、「そうした攻撃において、民間人の巻き添え被害の可能性の想定と考慮に多大な努力をしている」とした。

2023年10月から続く戦闘で、これまでに子供1万5000人の死亡と、3万4000人の負傷が報告されている。また、100万人近い子供が繰り返し家を追われているとされる。

イスラエルは3月2日からガザへの援助物資の搬入を阻止しており、ガザの人道状況はここ数週間で劇的に悪化している。これほど長い間、援助が遮断されるのは開戦以来初めて。

「これらの必要不可欠な物資がなければ、栄養失調や病気、そのほかの回避可能な状況が急増し、回避可能な子供の死亡が増加する可能性が高い」と、ユニセフは報道発表で指摘した。

ガザ南部でパレスチナ人医師8人、民間防衛隊の初期対応者6人、国連スタッフ1人がイスラエル軍の攻撃で死亡した翌日、国連はガザでの活動を縮小すると発表した。

ハマスは2023年10月7日にイスラエル南部を攻撃し、約1200人を殺害、251人をガザに連れ去った。イスラエルはこれに大規模な軍事攻勢で応じ、ハマスが運営するガザの保健省によると、これまでに5万399人以上のパレスチナ人が殺されている。

(英語記事 At least 322 children killed since Israel's new Gaza offensive, Unicef says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c77n4xxej5ro


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