2025年12月6日(土)

経済の常識 VS 政策の非常識

2025年4月8日

意外に日本企業にはない反DEIの動き

 アメリカがDEIを止めたら日本も止めて、日本企業が付け焼刃と偽善と流行が大好きななことが分かるだろうと思っていたら、日本は意外に踏みとどまっている(以下は、「多様性などの実現 米で見直しも 日本企業は“重視する姿勢”」NHKニュース2025年1月16日など)。DEIと呼ばれる多様性などの実現に向けた取り組みをめぐり、日本企業の間ではアメリカで活動の一部を見直す動きもあるが、各社とも多様性を重視する姿勢には変わりはないようだ。

 トヨタ自動車と日産自動車はアメリカの性的少数者などの人権団体「HRC」が実施する取り組みへの参加をやめている一方、多様性を重視する姿勢には変わりはないとしている。アメリカの「マクドナルド」は、DEIについての方針を見直したが、日本マクドナルドは多様な人材の活躍に向けたこれまでの方針を変える予定はないとしている。

 また、大手商社の三井物産、三菱商事、伊藤忠商事も、女性管理職の比率の向上や、障害者の雇用を積極的に進めるなどとする多様性の目標について変更しないという。日立製作所も2030年度までに執行役や理事以上に占める外国人と女性の比率を3割に引き上げる目標を変える予定はないとしている。

 アメリカの場合にはDEIが行き過ぎという議論が底流にあったところで、トランプ政権の方針があって、反DEIに流れたのかもしれない。日本の場合、高齢の男性だけの取締役会では、多様な消費者や従業員のニーズに応えるのも、世界に進出するのも無理だろう。

 世界に打って出るなら日本の高齢男性以外に、外国人も女性も登用するより仕方がないということだろう。行かなさすぎでは、日本に反DEIの動きはあまりないようだ。

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