科学で斬るスポーツ

2014年4月4日

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 それは低めの球を打つ時ほどバット先端の速さ、ヘッドスピードが大きくなりやすいからだ。

ボールを遠くに飛ばすには?

 ヘッドスピードが大きいとボールはよく飛ぶ。ヘッドスピードはイチロークラスで時速150kmを超える。ヘッドスピードが10kmアップすると、飛距離は2.6m伸びる。アウトローやインローのボールをとらえる時ヘッドスピードスピードが高くなるのは、打者から遠いため遠心力が大きくなるからだ。

 投手の投げる球の速さも関与する。球速が10km大きくなると、飛距離は最大5.6m伸びるといわれる。ホームラン打者に対峙するとき、渾身の力を込めて投げれば投げるほど、逆にホームランを打たれやすい。剛速球投手ほどホームランが多いのは、それだけ球が速いことの証明、勲章ということである。

 もうひとつ、ボールのスピン(回転)も飛距離に関係する。中京大学の湯浅景元教授によると、打球が最も遠くに飛ぶのは、1分間に4000回転スピンがかかったときという。スピンがあると、マグナス効果という物理現象が起き、ものを上に持ち上げる揚力がかかるからだ。回転数が少ないとボールは高く上がらない。回転数が多いと、逆に高く上がりすぎ、距離がでない。

 スピンをかけるには、どうしたらいいか。ボールのやや下をたたくとバックスピンがかかりやすい。アッパースイング(下から上にすくい上げる打撃)でないとボールをこするだけになってしまう。選手たちが、「運ぶ」と表現する、感覚である。運ぶのがうまい選手は、極端なアッパースイングの人も多い。アッパースイングの打者は打率が低くなりがちだ。しかし、バレンティンもブランコもホームラン打者の割に打率が高い。アッパースイングで、ボールをとらえる技術が高いということである。小さい時からダウンスイング、あるいはレベル(水平)スイングがいいと指導される日本では、こうした選手は育ちにくいのかもしれない。

ライン際は打球が伸びる!

 もう一つ、面白い物理現象を紹介しよう。同じヘッドスピードでも、ボールがセンターに飛んだ時より、ファウルラインに沿って飛ぶと、ほんの少し距離がでるということだ。ファウルラインへの打球は、打ち損ないではないかと思われるが、実は違う。

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