2025年12月6日(土)

トランプ2.0

2025年5月2日

そのとき、日本はどう対応するのか?

 今後、日本はトランプ政権との交渉にあたり、どのような点に留意してくべきであろうか。

 トランプ政権との1回目の交渉のために首都ワシントンに向けて出発する直前に、日本のネゴシエーター赤澤亮正経済再生担当大臣は、相手との信頼関係の重視に言及した。しかし、異文化的視点から述べると、長期的な人間関係構築と信頼関係よりも、米国は契約締結ないし署名を優先し、重視する文化だ。赤澤はトランプとの信頼関係や人間関係の構築よりも、むしろ、ディールにディールで対応することに専念するべきである。

 トランプ政権が日本を最初の交渉相手に選択したのは、日本は交渉において与し易い相手と考えており、相互関税一時停止の90日間に目に見える成果を出して「宣伝」に利用する意図があるからである。ホワイトハウスの執務室で、赤澤はトランプ支持の赤いMAGA帽子を被り、親指を二本立てて(ダブル・サム・アップ)、「非常に良い」というメッセージを発信した。正に、トランプの意図通り宣伝になってしまった訳である。トランプ政権の交渉チームは「我が意を得たり」と思ったに違いない。

 現在、日本は、トランプと個別に交渉を行っている。しかし、韓国、ベトナム、カナダ、メキシコおよびEU等と協力して、トランプが嫌う多国間交渉に持ち込むべきだ。トランプは多国間交渉では、脅しや密約が効かない。

 トランプ政権との交渉では、自動車や農産物等が挙がっているが、今後、トランプ政権が日本に対して中国との貿易量の抑制や、中国からの輸入品に追加関税をかけることを強く要求した場合、日本は究極的な選択を迫られるだろう。

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