トランプは反対に、自分と米国は世界から再び尊敬されるようになっていると述べるから、驚きだ(それが強弁ならいまだ救いだが)。世界の対米信頼は今戦後最低だ。
また、トランプが王様のようにふんぞり返って各国は妥協を持って来いといわんばかりに振舞っていることも気になる。ベッセント財務長官さえ、他国は如何なる提案を持ってくるか見てみようと言う。残念ながら、トランプは米国の力とソフトパワーをますます貶めている。
日本は対米交渉と欧州、ASEANとの連携を
習近平は4月14日からベトナム、マレーシア、カンボジアの3カ国を訪問している。4月15日に発表された中越共同声明では、一国主義に反対していくことを確認。4月17日のマレーシア・中国共同声明では、「両国の『ハイレベルの戦略的マレーシア・中国共同体』の構築を目指す」、「恣意的な関税引き上げなど貿易制限措置に反対する」と述べている。
なお、習近平は4月16日の夕食会で演説、「中国とマレーシアは域内各国と共に地政学的・ブロック対立の潮流と闘う」と述べ、「共にアジアの家族の明るい未来を守り抜く」と表明したという。残念ながら、自由貿易主義、多国間主義、一方主義排除、民主主義等の言葉は中国に取られてしまった。
欧州連合(EU)フォン・デア・ライエン委員長は4月15日、シンガポールのウォン首相と電話で協議、EUと環太平洋パートナーシップ協定(TPP)加盟国が連携する可能性について議論したという。フォン・デア・ライエンは協議後、「TPPの広い地域と貿易面でより緊密な協力を検討するのを楽しみにしている」との声明を発表した。
まさにそういうことを進めていくことが求められている。日本は、対米交渉をしながら、欧州、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携を一層強化していくべきだ。
