2025年4月14日付 ウォールストリート・ジャーナル紙は、「習近平の反関税の旅」という社説を掲げ、習のベトナム、マレーシア、カンボジア歴訪は、トランプの関税政策がもたらした機会を活用し、これら諸国との関係強化を図るものだと指摘している。

トランプ大統領の貿易戦争が、中国に経済的・外交的機会を与えている。今週の習近平の東南アジア歴訪は米国の代替として貿易その他の関係を強化するための、反関税の旅だ。
ベトナムが最初の訪問先だが、非常に目立つものだった。ベトナムは共産主義国だが、長年、米国との経済的・外交的関係強化を目指してきた。同国は、中国以外との関係多角化を図る西側企業の生産拠点だった。
それは、4月2日にトランプがベトナムに 46%の相互関税を課したことで変わった。この関税は90日間猶予期間が設けられたが、トランプの世界全体に対する10%の関税は維持されている。
ベトナムは、同国を必要としているパートナーと貿易取引をしようとしている。ベトナムは4月14日に中国と膨大な貿易合意を結んだが、その内容はいまだ不明だ。
習の他の訪問先は、マレーシアとカンボジアだ。解放記念日に米国はマレーシアに 24%、カンボジアに49%の関税を課した。
習はこの週末にインドネシアのブラボウォ大統領にも電話し緊密な協力を約したが、トランプはインドネシアに32%の相互関税を課した。これらの国は既に中国と広範な経済関係を有している。
しかし、ベトナムとカンボジアの対米輸出は対中輸出より大きく、マレーシアの対中対米輸出は同レベルだ。習の目的は、中国を米国より信頼できる貿易と安全保障のパートナーとして売り込むことにある。習はベトナム共産党機関紙に、貿易戦争と関税戦争には勝者はいない、保護主義に未来は無い、と投稿した。