2026年1月10日(土)

下水道からの警告

2026年1月9日

 「従来普及させてきた下水道やし尿処理施設は、『綺麗な水に戻す』ための施設ではあっても、『何かを生み出す施設』ではありませんでした。発想を転換し、ごみやし尿を『資源』として捉えるところからこのまちは変わり始めました」

中央の棟が生ごみ等資源化施設、右奥にある棟がバイオ液肥濃縮施設だ(MANIWA CITY)

 岡山県真庭市産業観光部農業振興課農政企画室室長の藤田浩史さんはまちの変遷をそう語る。

 市内の下水道整備率は79.7%(2021年度時点)。公共下水道の下水は他のまちと同様、処理場に流れるが、汲み取り式トイレに溜まったし尿や、浄化槽の清掃時に抜き取られた汚泥は、市内の「ある場所」へと運ばれていく。25年1月から稼働を開始した「真庭市くらしの循環センター まにくるーん」である。

 ここには、1日に86トンものし尿・浄化槽汚泥が運搬される。それを生ごみと合わせてメタン発酵させることで、農業資源として活用できる「バイオ液肥」という液体肥料をつくっているのだ。

 総工費は約52億円。「有機性廃棄物リサイクル推進施設」として環境省からの補助金も活用しつつ、過疎債を元手に新設した。

 バイオ液肥は年間500トン、米の生産に適した「濃縮バイオ液肥」は240トンほどのペースでつくられているというが、人間のし尿に由来する肥料を使うことに抵抗感を持つ住民はいないのだろうか。

 「すでにメタン発酵されたものであり、し尿とは別物であるという認識が追い付かなければ、抵抗感も出るかもしれません。

 しかし、何より考えてみてほしいのは、例えば東京においても、河川から汲んだ水を人々が飲み、それがし尿として下水道に流れ、水処理されたものがまた河川に流れていくという〝循環〟が既に存在しているということです。東京の水道を『し尿由来の水』と考える人はほとんどいないでしょう。

 さらに言えば、牛糞由来の堆肥を使用した野菜の印象は良いものが多くても、『人間由来』と聞いた途端に抵抗感が出るということにも、違和感があります」

 バイオ液肥は肥料として登録した上で、肥料中の重金属の量も2カ月に一度検査し、その結果を公表している。


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