2025年5月16日(金)

Wedge REPORT

2025年5月11日

 アメリカのトランプ大統領との関税措置をめぐる交渉が続いている。日本も、赤沢亮正経済再生担当相が2回目の訪米をしたが、事務レベルでの協議を続けている。

 トランプ大統領はなぜ、関税にこだわるのか。日本をどのように見ているのか――。交渉を進めていく中で、相手であるトランプ政権や米国人から見る日本を理解する必要がある。

 日米関税交渉に必要な視点や、米国人の本音も解説する記事5本を紹介する。

(提供:Molly Riley/White House/ZUMA Press/アフロ)

〈目次〉

〈日本人よ!私たちの心の痛みが分かるか〉怒涛のように押し寄せた日本車で衰退したデトロイト…第二回日米関税交渉で赤沢大臣が心しておくべき3つのこと(2025年5月1日)

トランプ関税交渉の行方「強硬派ナバロ対穏健者ベッセント」…日本がトランプの脅しに屈しないためにやるべきこと(2025年5月2日)

トランプに残るトラウマか?「強いニッポン」の記憶、赤澤経済再生相を「好待遇」した理由(2025年4月21日)

〈解説〉日米関税交渉の焦点はトウモロコシか?トランプ政権が本当に欲しいもの、日本のコメ産業はピンチをチャンスに(2025年4月30日)

〈提言〉トランプ関税にどう対応すべきか?日本として必要な2つの分野にもっと支出を!(2025年4月21日)

〈日本人よ!私たちの心の痛みが分かるか〉怒涛のように押し寄せた日本車で衰退したデトロイト…第二回日米関税交渉で赤沢大臣が心しておくべき3つのこと

トランプ政権との交渉では、80年代の日米貿易摩擦の記憶を忘れてはいけない(AP/アフロ)

 日米の関税交渉については、赤沢亮生大臣が再度訪米し、第二回の交渉が持たれることとなった。前回はトランプ大統領本人が突如登場した一方で、全体としては問題点の確認に終わった感がある。

 今回はいよいよ本交渉ということになるだろう。では、赤沢氏としては、何に留意したら良いのであろうか。

 大前提として、今回の交渉においては日本としてトータルな国益を守るために、政府も与野党も世論も、一定程度の理解をすることが必要だ。その上で赤沢大臣に交渉担当者としての委任をする、これが一番大事である。必死で交渉してトータルでは十分な結果が得られても、担当官庁や与野党が越権行為だなどと難癖をつけるようでは、何も進まない。

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トランプ関税交渉の行方「強硬派ナバロ対穏健者ベッセント」…日本がトランプの脅しに屈しないためにやるべきこと

(wildpixel/gettyimages)

 米メディアでは、トランプ関税を巡るトランプ政権内における強硬派ピーター・ナバロ大統領上級顧問(75、以下、初出以外敬称および官職名等略)と穏健派スコット・ベッセント財務長官(63)の対立が連日取り上げられている。このパワーゲームは、とりあえずベッセントに軍配が上がったようだ。ベッセントは、米国の報道番組に頻繁に出演して、相互関税をかけた国との交渉について各社のインタビューを受けている。

 今後、関税問題に関して、ナバロとベッセントの勢力争いに変化が生じることはあるのだろうか。どちらかが勢力を強めるかによって、日本に対する影響が変わってくるため、この点を注意深く見ていく必要がある。

 また、国民の人気に敏感なドナルド・トランプ大統領は、米国民の意見にどの程度、影響を受けるのか。これについては、各種世論調査をみてみよう。

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トランプに残るトラウマか?「強いニッポン」の記憶、赤澤経済再生相を「好待遇」した理由

トランプ大統領はなぜ、赤澤経済再生担当相との会談をしたのか(提供:Molly Riley/White House/ZUMA Press/アフロ)

 赤澤亮正経済再生担当相が4月16日(現地時間)、関税交渉のために渡米しホワイトハウスを訪れた。当初は、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表らとの閣僚級の協議になるはずだったのが、トランプ大統領は顔を出しただけでなく、そのまま大統領との会談となり、会談は50分間に及んだ。これが想定外だったことは、テレビカメラが財務省に集まっており、会談の模様を中継できなかったことからも明らかである。

 この会談でのトランプ大統領の発言について、赤澤大臣は多くを語らない。が、主要メディアの報道によれば、トランプ大統領は、在日米軍の駐留経費負担の増額、日本国内での米国製自動車の販売数の増加、対日貿易赤字の削減を求めたという。いずれも厳しい要求であったが、大統領は「日本との協議が最優先」との考えを示した。

 そのような要求項目は、閣僚が示してもよかったわけで、国内問題の対応に追われ世界全体を相手にするなど多忙を極める大統領が、50分もの時間を割いて直接会談に臨み、「日本との協議が最優先」と表明した。さらに会談後「日本の貿易代表団と会えたことは大変光栄だ。大きな進展だ」と発信するなど、通常の応対を超えたものであったといえる。このような好待遇の裏には、米国側のどのような狙いや本音が隠れているのだろうか。

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〈解説〉日米関税交渉の焦点はトウモロコシか?トランプ政権が本当に欲しいもの、日本のコメ産業はピンチをチャンスに

トランプ政権との関税交渉は今後、どうなるのか?(提供:Molly Riley/White House/ZUMA Press/アフロ)

 「コメが足らない、価格が高騰」という今回のコメ需給・価格の混乱は、アメリカの相互関税作戦にも力を貸してしまった感がする。「日本の米輸入関税率は700%」との発言は明らかな間違いであるし、「全世界へ相互関税」の導入は、これまで国際社会が進めてきた自由貿易体制を崩し、無秩序の混乱と腕力勝負へと導いてしまっている。

 4月7日の記事『「700%関税」なんて大間違い!それでも巧みなアメリカのディール、トランプ相互関税で日本のコメ輸出はどうなる?』において、アメリカ側の「日本のコメ関税率は700%」「日本への相互関税率は24%(ただし、実行まで90日間猶予する)」に関し、「コメは本命ではないかもしれない。アメリカの作戦は、脅しをベースとした譲歩を目指す要求だから、コメ以外の分野での要求に飛び火する可能性が大である」と記した。最近の報道ぶりでは、事態はそのような方向に進むような気がしている。

 世界規模で考えれば、米国最大の難敵・中国は、<譲歩はしない、高関税には、報復の高関税で対応する>であり、双方の応酬結果は農林水産物の貿易構造の変更に跳ね返り、各国に影響してくるだろう。

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〈提言〉トランプ関税にどう対応すべきか?日本として必要な2つの分野にもっと支出を!

日米関税交渉でコメントする石破茂首相。どのような対策をすべきなのか(代表撮影/ロイター/アフロ)

 トランプ大統領の相互関税で世界は揺れに揺れている。世界の株式市場は下落と反動増を繰り返しながら暴落し、ドルは下落している。トランプ氏は、高関税をかけるだけでなく、場当たりに延期したり、スマホなど特定製品に関税をかけないと言ってみたり、またかけると言い出したり、実際のところどうなるか分からない。

 トランプ氏の製造業を米国内に取り戻すという発想自体は理解できる。第2次世界大戦ではアメリカは民主主義の兵器廠(へいきしょう)となった。ロシアは、ウクライナが西側の兵器を使っているからけしからん、西側の手先だと言っているが、第2次世界大戦ではソ連もアメリカの武器でドイツと戦った。

 2700万人の犠牲を出してナチスドイツを打ち破ったことは賞讃に値するが、その武器のおそらく2割はアメリカ製だった。アメリカは、1941年から45年まで、武器貸与法により、イギリス、ソ連、中華民国などの連合国に対して、莫大な軍需物資を提供した。

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