2025年5月16日(金)

インドから見た世界のリアル

2025年5月9日

  カシミールで4月22日に起きた、観光客26人を殺害したテロについては、「〈テロで高まるインドとパキスタンの対立〉インドが持つ4つの軍事作戦、日本はどうあるべきか」で書いたばかりだが、5月7日、インド軍は、カシミールのパキスタンが管理している地区と、パキスタン国内のテロ組織の拠点に対し、攻撃「シンドール作戦」を行った。本稿は、この攻撃を分析し、今後の推移を予測するものである。

激化しつつあるインドとパキスタンの対立は今後、どうなるのか?(ロイター/アフロ)

攻撃の分析

 5月7日のインドによる攻撃は、どのようなものだったのだろうか。まず目的としてインド外務省があげているのは、4月22日のテロから2週間にわたり、パキスタン側のテロ対策を待ったが、何も行動していないどころか、テロリストと共謀してさらなるテロを計画していることをつかんでいるとしている。

 これは、そもそもパキスタンが過去からそうだったように、テロリストを支援してきたために起きていることで、これ以上待ってもパキスタンがテロ対策で取り締まりを強化したりはしないとインド側は考えていることを意味している。そのため、インド自身でテロリストの拠点に対して攻撃を行った、というものである。目標となったのはテロ組織の拠点で、パキスタン軍の施設は攻撃していない。

 目標の位置は、カシミールのパキスタンが管理している地区5カ所と、パキスタン国内の4カ所に対して行われた。インドの主張はカシミール全域がインドの領土であるので、カシミールのパキスタン管理地区に対して行われる攻撃は「国内」に対するものであるが、インドが外国だと認めているパキスタン国内の拠点も攻撃した場合は、対外的な攻撃となる。

 4月22日に起きたテロが、パキスタンが訓練したテロリストがパキスタンから越境してきて起こした攻撃であるため、それに対する懲罰として、パキスタン側に越境してテロリストの拠点を攻撃した、という論理構成になっている。


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