トランプ大統領の就任で、世界は新たな時代に入った。世界には、トランプ政権に対して歓迎している国がある。インドがその一つだ。
Wedgeでは、昨年11月の選挙直後にも「〈インドはトランプが好き〉米国・インド関係黄金時代か、新政権を歓迎する本音とは」で書いたが、インドではバイデン政権に対する評価が低く、その分だけ、トランプ政権に対する評価は高い。その原因には、2021年のアフガニスタンからの撤退で総崩れの様相を見せて以降、22年にはロシアのウクライナ侵略、23年にはハマスのテロ攻撃へと、立て続けにつながっていき、バイデン政権は戦争を抑止する能力の低い、弱い政権に見えたことがある。それにもかかわらず、バイデン政権は、インドの民主主義の欠点を指摘する傾向があり、ますます、インドとしては不愉快に感じていたのである。

トランプ政権は、「予測できない」怖い政権であると同時に、中国に対して強い政権である。民主主義のレベルなど、イデオロギー色の強い政策でインドを非難したりしない。バイデン政権とは違うのである。
しかも、バイデン政権は、インドに対して、ロシアに協力しないよう圧力をかけた。インドからすると、インドが戦争に直面している時にアメリカが助けてくれた、とは思っていない。それにもかかわらず、アメリカがロシアと問題を抱えたときは、インドに対してロシアとの縁を切るよう要求するのは、都合が良すぎるのではないか、と考えている。しかし、トランプ政権は、ロシアのウクライナ侵略を終わらせ、この問題にも終止符を打とうとしている。
さらには、もともとトランプ大統領とモディ首相は、意見が合い、仲がいい。トランプ大統領の就任式では、インドは外務大臣を派遣したが、今後、首脳同士の個人的な関係はプラスに働くものとみられている。
だから、インドは、トランプ大統領の就任式を、期待をもってみていたのである。
ところが、そのようなトランプ大統領歓迎のムードがある中でも、懸念がないわけではない。そして、それはトランプ大統領就任初日から、噴き出してきたのである。大きく3つの議論がでてきている。