2025年2月14日(金)

トランプ2.0

2025年1月21日

 順風満帆の船出が始まったかに見える米国の第二次トランプ政権。対照的に野党民主党、そして全米のリベラル派活動家たちの間では、政権に立ち向かうだけの気力を失い、“虚脱ムード”さえ漂っている。

トランプ大統領就任式に参加したカマラ・ハリス民主党候補(中央)とヒラリークリントン夫人(右)。民主党は巻き返せるか(代表撮影/ロイター/アフロ)

元大統領夫人の無言の抵抗

 20日のトランプ大統領就任式は、前回2017年の時とは様変わりしたものだった。厳寒のため急遽、例年なら数十万人が参加する宣誓式典会場が連邦議事堂前の屋外広場から「ロタンダ」と呼ばれる議事堂内円形大広間に単に変更になっただけではない。

 存命の歴代大統領が夫人同伴で列席するのが恒例となっている宣誓式に、今回は、オバマ民主党大統領夫人が欠席した。ミシェル・オバマ夫人は、前回夫とともにトランプ就任宣誓式に出席したものの、昨年選挙では、カマラ・ハリス民主党候補を熱烈支持し、集会やテレビ・インタビューなどを通じ人格批判も交えた徹底的な「トランプ阻止」の行動に出たことで知られる。こうしたいきさつから、今年のトランプ大統領就任式への出席見合わせを事前に公表していた。

 ヒラリー・クリントン夫人も直前まで、出席辞退が伝えられていたが、最終的に夫の手に引かれながら式典に顔を見せた。しかし、表情は終始さえなかった。

 同夫人は16年大統領選で民主党候補としてトランプ共和党候補に立ち向かい、接戦の末、敗れた。その後、昨年大統領選でも、ハリス候補支援集会にしばしば駆け付け、トランプ批判演説を行ってきただけに、今回のトランプ式典では終始、笑顔ひとつ見せることはなかった。

 両夫人ともかねてから、人種差別撤廃、女性の権利拡大、銃砲規制、環境保護などの運動に積極的に関与してきた実績があり、これらの問題に冷淡な態度をとってきたトランプ氏の今回の返り咲きを大きな衝撃を持って受け止めたことは間違いない。

 二人の民主党大統領夫人のこうした反応は、党そのものの「落胆」と無言の「抗議」の象徴ともいえる。

 また、この日、アンチ・トランプの論客で下院議長を務めたナンシー・ペロシ民主党議員も宣誓式には姿を見せなかった。ペロシ氏は下院議長だった2018年当時、トランプ氏が大統領として議会での年頭一般教書読み上げに臨んだ際、大統領の目の前で教書コピーを引きちぎり、不快感を示したことで大きな話題となったことがある。


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