中間選挙までの2年は我慢の時か
こうした動きが伝えられる中、民主党幹部たちの間では、ホワイトハウスと上下両院を制した「トライフェクタ体制」に今後、どう向き合っていくかについて激論が戦わされている。
ただ、民主党としては当面、内政、外交両面でトランプ第二次政権が打ち出してくるとみられる過激な政策、法案、大統領令などに対し、議会審議で異議を唱えるほかは打つ手がないのが実情だ。
議会審議ではこれまで、伝統的中道保守路線が主流を占めていた共和党側に時として歩み寄り、第一次トランプ政権下で見られたように、常道を逸した政策案に対しては超党派で阻止する場面が少なくなかった。しかし、今やその共和党議会も“トランプ党”に変身しつつある。
このため、民主党としてはせいぜい、党としての主張の正当性をマスコミやグラスルーツの集会などを通じ、世論に訴えていく程度だろう。
著名な国際政治学者イアン・ブレマー氏が主宰するネット・メディア「GZERO」の評論によると、民主党は中長期的展望として、来年行われる中間選挙で下院の多数支配奪回に希望をつないでいるという。
今議会での下院勢力が共和党220議席、民主党215議席と伯仲していることや、過去の下院選挙では、大統領選挙で政権を明け渡した政党が2年後の下院選挙で多数となるケースがほとんど例外なしの通例となってきたことが根拠とされている。
そして民主党幹部は「27年から28年にかけて、民主党主導の下院で、前回同様に、トランプの様々な疑惑や不正追及に乗り出し、次の大統領選に向けての有利な世論環境づくりができる」との見通しを明らかにしている。
これに対し、同メディアは「もし、26年中間選挙で敗れたら、民主党再起の展望は決して明るくない」と結んでいる。
いずれにしても当分は、不法移民の大規模追放、検挙に象徴されるトランプ氏の“暴走”を座視するしかない、との沈滞ムードがワシントンを覆っている。