中国を加盟させるのか
第二は正にそのことであり、自由貿易の維持・推進のために、具体的にどうやるべきかを考えるのは、知恵と経験を必要とする作業である。TPPの拡大は不可欠だが、現在手を挙げている台湾、中国、特に中国の加盟をどう考えるのか。
東南アジアで取りこぼした国、例えばインドネシアをどうするのか。マレーシア、ベトナムは既に加盟しているので、中国との関係で、彼らが TPP に一層のメリットを感じるために具体的に何ができるのか。
そして、最近は二国間自由貿易協定(FTA)締結には積極的だが、多国間の枠組みに入ることには引き続き慎重なインドをどのようにして取り込でいくのか等、検討すべきことは多い。特に中国の取り込みは、関税戦争の後に控えている米中ディール実現というトランプ大統領の目的にも大きな影響を与える我々が持つ「梃」でもある。
試される日本の外交
第三は、今述べたことにも少し関係するが、米国が自損行為で作り出した真空を中国が埋めることに関して、日本を含む地域諸国はどう対応するのか。米国が引くのなら、その影響を最も直接に受ける日本が、その穴を埋めていくのは、自然かつ不可欠だと思う。
同時に、米国が抜ければ、放っておけば東南アジア諸国はほとんどの国にとって最大の貿易相手である中国に席巻されることになるのだが、それを東南アジア諸国が良しとしているのかどうかについての分析も重要だ。各国とも、知力を総動員して、中国に頼り切らないためのヘッジ策を考えているのが現状だ。
そして、ヘッジの対象としては日本が最も受け入れられやすい。正に、日本外交の力が試されている。
